Column

2021年 冷凍食品新世紀 新たな発想の冷凍食品売場づくりへ

おせちや雑煮に使った材料の余りと冷凍うどんを使えば5分で出来上がる、紅白でめでたい「年明けうどん」。2021年が明け、首都圏はコロナ禍収まらず医療体制ひっ迫を目の前にして緊急事態宣言か?という状況である。めでたいと浮かれてはいられない。食品業界は、業務用需要の再びの失速を憂い、家庭用では昨年3月からの供給ひっ迫の再来かと緊張が走る。家庭用の即席めん、乾めん、レトルト、缶詰、シリアルなど、そして冷凍食品も、再び売場から消え、需要増に悲鳴を上げる日々になるのか。消費者は昨年よりは冷静に、過度な購買を避けるかもしれないが、供給側は間違いなく苦難の再来である。異常事態のため小売がペナルティを要求することは無いが、一度空になった売場では、いち早く供給体制を整えたメーカーが生き残るという空席争奪戦が繰り広げられる。柔軟、機敏な対応へ準備は万全だろうか。

さて、首都圏の食品需給動向が気になるが、冷凍食品100周年+1年を『新世紀』と位置付けた(昨年末発表の日本冷凍食品協会2021年PR方針、上は記念ロゴ)新年にあたり、家庭用冷凍食品の大きな課題とすべきことを考えてみたい。

結論から言えば、現状最も販売ボリュームがある量販店の売場の「革新」を課題として挙げたい。より、幅広い選択肢、買い物の楽しさを提供する売場、十分な売場ストック、そして、冷凍食品ならではの特性を配慮した売場への革新である。

業界が形づくられて50年が過ぎ、売場がどう変化したかを振り返ってみると、ショーケースが多段や平ケースから最新店でリーチインに変更されたという変化がある。では、その中身、品揃えは、価格帯はと考えると、どうも進化のポイントに乏しい。

「お弁当」が一大カテゴリーとなり需要を育てた過去40年、価格帯は下降し続け、高額商品が無い、育たない売場になった。2004年から10年は半額横行のチープな売場であった。そんなマイナス要因が多い中で、「うどん」「焼きおにぎり」「炒飯」が人気品目の地位を得たこと、パスタ類が貢献し具付き麺類が増えて売れ筋になったことは特筆に値する。また近年は、野菜・フルーツ類のバラエティが広がり、食卓ターゲットの商品が増えつつある。

「冷凍食品は美味しい」「ステイホームで助かった」と言われた2020年を経て、今こそ売場の品揃え、価格帯のバラエティを抜本的に見直すべき時なのである。売場を広げれば、それに応える品揃えができる。新店や改装店では、「冷凍食品売場を倍に」といった事例も見られ、歓迎すべきことである。

しかし、単に売場を広げただけでは、消費を育てていくことはできない。なぜ、この品揃えなのか、各商品はどんな特長があり、どう活用できるかを語りかける売場でなければならない。バイヤーの技量が問われる。また、新商品にスポットを当てたチャレンジコーナーも作るべきだ。単なるセール品コーナーではない。新しい商品で新しい需要を生み、育てるコーナーである。

さらにもう一つ、冷凍食品の特性、コールドチェーンを保つこと、適切な解凍調理をすることについて、売場が真剣に取り組み、消費者啓蒙をすべきである。美味しいものをそのまま美味しく再現して食べることで、冷凍食品は今以上に評価され、需要が伸びるのである。もちろんそれをサポートするのはメーカー、中間流通である。

何がおすすめか、どう食べるか、どうすればより美味しいのか、売場でコミュニケーションを取る手段を製販手を携え情報発信できれば「冷凍食品新世紀」にふさわしい売場となろう。まずは、プライスカードの近くに売場からのひと言を添えてはどうだろう。

(冷凍食品ジャーナリスト山本純子)

 

 

 

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