ヘルス&ビューティの売場を作ろう
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2016年春夏の家庭用冷凍食品新商品は、先行発売されているものもあるが、大方はいよいよ本日、3月1日からの市場投入である。棚に並ぶもの、ヒットするもの、なかなか理解が得られないもの、また、予想に反して意外な人気を得てしまうものなど、毎シーズンの一喜一憂は常なのだが、今年の新商品にはメーカー各社の格別の思いが乗っかったように思う。
つまり、昨年1年も市場全体で横ばいか微増かという予想の中で、再び成長路線へ舵を切るための商品をという思いが込められた。冷凍食品の価値が認められ、受け入れられる将来性のある商品をと考え、開発、提案が行われた。
全品割引販売からEDLPへの移行により、一部ユーザーが見失ってしまった冷凍食品の価値。業界は、この教訓を忘れてはならない。意欲的な開発商品を通じ、メーカーが消費者に訴えている冷凍食品本来の価値が理解され、新たな需要を育てていけるようにと願う。
もちろん新商品導入だけではなく、その価値を表現し伝えていくプロモーションが大事なのは言うまでもない。
さて、意欲的な開発商品の中に今春は、『ヘルス&ビューティ』を開発テーマにした商品が目に付いた。ドライ品で先行していた「オーマイPULS」ブランドで冷凍パスタやパンケーキをシリーズ投入した日本製粉によると、量販店がそんなテーマでコーナーを作りたいと希望しているからそれに応えた、ということだ。確かに健康、美しさ、ダイエットは根強いニーズ。しかし、消費者の冷凍食品に対するイメージは、往往にしてその真逆である。からだに悪い、栄養がいまひとつ、太るといった印象を持つ人がいかに多いかと驚く場面に幾度となく遭遇する。この明らかな誤解の解消に、業界は本気で、心血を注いで取り組まなくては、業界の明るい未来は無いのではないかと思う。この誤解こそが、未開拓ユーザーを掘り起こせない要因なのだから。
糖質カット、食塩ゼロ、減塩、食物繊維、EPA、野菜やフルーツ、さらに、高齢者向け介護食品等々。積極的に健康、ダイエットに役立つ食品、食の悩みを解決できる食品が冷凍食品売場に登場することで、消費者の冷凍食品に対する印象が大きく変わってくるのではないだろうか。
さまざまな食の悩みを解決した商品であっても、美味しく仕上げること。これは、各社得意とするノウハウを持っていることと思う。この春夏の売場から、新たな価値を訴えられる商品群が注目され、さらにそんな商品を通じて、冷凍食品のメリットに対する理解が深まることに期待したい。
↑ マルハニチロのメディケアシリーズ。業務用主体だが、在宅介護向け通販需要も大きい