2016年、冷凍食品の価値を高める年に

2016年、新しい年が明けた。今年の冷凍食品業界は希望に満ちているだろうか、それとも前年の生産高が振るわなかった(日本冷凍食品協会による2015年国内生産高予測は、前年比横ばいか微減の152t~154t)ことによって2年連続の足踏みが確定、成長路線から踊り場に入ったという懸念が広がっているだろうか。煽るわけではないのだが、今年は業界の節目、過渡期ではないかと考える。

消費者、ユーザーからの高い評価を受けて成長を続ける業界という明るい未来。もしくは、伸び悩みが続き、その解決の糸口が見つからないままに、国内マーケットの縮小を要因に挙げながら、業界内で激しい生存競争が繰り広げられる厳しい未来。その分岐点に立つのが2016年なのではないかとおもう。

大手メーカーの2016年3月期第2四半期決算を見る限り、各社の冷凍食品事業は概ね増収増益である。通期でも同様の予測だ。しかし、その業績を支えたのは、マーケットからいくばくかの理解が得られた価格改定である。実質は生産量が伸びないマイナス。不採算の脇道から脱して軌道修正をしたに過ぎない。本当の勝負、成長性の回復は今年、各社の取り組みいかんにかかっていると言えよう。

振り返れば、2013年まで市場の成長を牽引していたのは家庭用だった。2014年にマイナスへ転換した際の業界内の評価は、食品防御に関わる事件に加え消費増税はじめさまざまな要因が重なってのこと、であった。同年は、日本冷凍めん協会の生産食数調査も、調査開始以来初のマイナスとなった。しかし、これも一時のこととみられていた。続く2015年の足踏みは、EDLP販売への転換、価格改定、また、牽引役だったパスタ類が失速したからだといわれている。さて、これらの話は真実なのだろうが、本質ではないような気がする。

つまり、冷凍食品の商品価値とは、すなわち「価格」であったのだと思い知らされた年に勢いがなくなったのである。「値段が上がった」「安売りがなくなった」と感じたとたん、消費者の足が遠のき、回復にかなりの時間がかかっているところに、本質的な問題がある。消費をリードしてきたお弁当需要のヘビーユーザーでさえ、安い、便利、そこそこ美味しいという評価にとどまり、第一の価値とみなす「安い」魅力が弱くなると買い上げ点数が減少した。「冷凍食品の価値」について、消費者に理解を得る努力、コミュニケーションを深める努力を怠ってきたツケがまわってきたような気がする。正当な対価を求めているのに、値上げした、高く売るようになったと思われているとしたら、業界への信頼感は極めて低いと言わざるを得ない。信頼されていないから、約半数の未購入層を開拓できないままなのである。

一筋の光は、味の素冷凍食品の「ザ・チャーハン」のヒット、ニチレイフーズ「新 本格炒め炒飯」の好調など、米飯類が伸びていることだろう。注目のヒット商品から需要の突破口は開けてくる。

また、もうひとつ、弁当商品が低調といわれる中で、ニチレイフーズの『お弁当にGood!』シリーズ新パッケージが好評を得ていること。パッケージ表の左下に、ひと工夫のメニュー提案写真を掲出。また、右下の個数表示の横にはカロリー、塩分を表示した。「お弁当のシリーズだけど朝ごはんにも便利なんですよ」「このコロッケはお弁当用ですが、パンにはさんでも便利で美味しいんです」と売場で語りかけるパッケージだ。さりげない改革だが、消費者とコミュニケーションを深めるのに、こんな手っ取り早い手は他にないのではないだろうか。

お弁当にGood!かわいいとろ~りオムレツ

お弁当にGood!衣がサクサク牛肉コロッケ

今年は、国民の食生活向上を目指した「コールドチェーン勧告」(1965年)から51年目。かつて低温流通の整備、冷凍食品の普及は国民生活に多くの恩恵をもたらすという信念の下に業界は集い、日本冷凍食品協会が発足(1969年)、同時に工場の認定制度や自主的取扱基準整備など品質訴求の取り組みをスタートした。今一度その原点に立ち返り、冷凍食品の価値を訴える消費者とのコミュニケーションに力を注ぐべき時だと考える。

さて、業界が培ってきた技術、商品力は、今、海外事業で花開いている。味の素冷凍食品の北米、ヨーロッパを主体とした海外事業売上は国内事業売上を上回り、ニチレイも新中計が今年スタートする中で、北米でのアジアンフード展開をはじめグローバルな事業展開に一層注力する構えだ。日本水産では、北米とヨーロッパに加え、アジア市場に注力する方針を表明している。マルハニチロも直近発表で、豪州事業が寄与して海外事業は収益を上げている。テーブルマークは、非公開ながら中国の生産拠点を生かしたBtoBビジネスを着実に展開、海外ではより強固な事業体質の構築を目指し、取組んでいく方針である。
大手を中心に、またTPP協定発効後は中小も同様に、国内事業、海外事業両輪による成長路線を描くことが、あたりまえになるだろう。その転換元年が、後に振り返ると2016年だったということになりそうである。

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