Q 中国産の冷凍食品に不安を感じます。輸入食品の検査ってちゃんとやってるの?
エフエフプレスでは、冷凍食品の安全性に関するみなさまの不安や疑問に対して、公正な立場から嘘偽りなく、正しい見識や最新データ・情報に基づいてお答えすべきと考えています。この度、新コーナー「安心・安全Q&A」を設けました。経験豊かな専門家からの答が、みなさまの安心につながるよう願っております。
第1回は、ほんとうによく耳にする不安。
Q 中国産の冷凍食品に不安を感じます。輸入食品の検査ってちゃんとやってるの?
A 答える人:冷凍食品の品質保証エキスパート 鳥羽 茂 氏
消費者の皆様に、食品の安全性について不安に感じることは何ですか、というアンケートをとると、年代や地域、そのときに起こった食の事件によって若干順位は異なりますが、だいたいにおいてトップ3に入るのは、輸入食品、残留農薬、食品添加物という結果が出ています。
その中で、輸入食品について感じていることは、海外では何をやっているかわからない、日本ほどきちんと作っていないだろう、野菜には農薬をたくさん使っていそうだ、など情報が無いことや不信感に基づく不安が多いように思われます。
確かに約15年前中国では、ほうれん草の残留農薬問題が起こり、その後も幾度か食品の安全を脅かす事件が報道され、消費者の皆様に不安を植え付けてしまいました。
しかし、日本の食品企業の絶え間ない努力によって近年では大幅な改善がなされてきていますので、そのことを説明したいと思います。
「輸入冷凍野菜品質安全協議会ホームページ」より
上の図は、中国の工場で製造された食品が消費者の皆様の手元に届くまでの流れです。
輸出国の中国政府、輸入国の日本政府のハードルだけでなく、日本の各企業では中国側のパートナー企業とも協力し、農場の管理、農薬の適切な使用の徹底、食品工場の適切な衛生管理などに取り組んでいます。
また、各企業では独自の検査も行い、衛生状態は万全か、農薬等が適切に使用されているかなどの定期的な検証も行っています。これら4つのハードルを越えたものだけが、皆様の食卓に届くことになります。
現地で残留農薬の検査をしている所(左)冷凍枝豆の選別作業をしている所(右)
ではこうした輸出国、輸入国、そして日本の各企業の努力によって、日本に届けられた食品が安全であるかどうかを確認してみましょう。
それには、日本の厚生労働省が管理している検疫所のデータを見るとよくわかります。下の表は、平成26年度に日本が輸入した食品の届出件数、それを検査した件数、そして検査の結果が基準を超えて違反になった件数です。届出件数の多い(輸入量が多い)上位8カ国を表にしてみました。
最も輸入量が多い相手国は中国で、それに応じて違反件数も多くなっています。しかし、違反率でみてみると8カ国の中では下から2番目の違反率であり、輸入相手国全体の違反率が0.45%に対し、中国は0.27%とかなり低いことがわかります。オーストラリア、フランスと同じレベルなのです。
こうしたデータからも、イメージが良くない中国食品ですが、今までの地道な努力によって安全性が向上していることが明らかになっています。
日本はエネルギーベースで食料自給率39%の国であり、これからも輸入食品に頼らざるを得ません。国産食品だけでなく輸入食品も安心して召し上がって頂けるように、絶え間ない取組みがされていることを少し頭に入れて、冷凍食品を楽しみましょう!
鳥羽 茂 氏(とば・しげる):東京工業大学大学院卒業後、味の素㈱入社、商品開発業務、調理食品研究所長を経て味の素冷凍食品㈱で品質保証業務に従事、同社定年後約7年冷凍野菜専業の大手企業、ライフフーズ㈱で品質保証業務に従事。神奈川県食の安全・安心審議会委員(現)