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『冷凍食品についての素朴な疑問シリーズ』 利用しないのは、添加物、産地が心配だから?

『冷凍食品についての素朴な疑問シリーズ』

Q 冷凍食品を利用しないのは、添加物、産地が心配だからです。添加物、使ってますよね?中国産も多いし、、、

A 冷凍食品の安全性に対する誤解や先入観がまだありそうですね。

少し前の話になりますが、平成31年3月9日付の朝日新聞beの中に、「冷凍食品を使っていますか?」という記事が掲載されました1)。1835人の読者にアンケートをとった結果です。

https://www.asahi.com/articles/DA3S13922854.html(外部リンク)

冷凍食品を使っていますか?という問いに対し、85%の人が「はい」と答え、使う目的の1位が「自宅での夕食」という結果を見て、数十年前の時代の、使用率が低く昼食中心であった頃と比べると隔世の感があります。最近では冷凍食品がすっかりメインの食材になって、生活に深く入り込んでいることを嬉しく思います。

しかし、感心ばかりしていられない結果もあります。「いいえ」と答えた理由に挙げられている「添加物を使っていそう」99人(5.4%)、「保存料を使っていそう」90人(4.9%)、「原産地表示に不安がある」62人(3.4%)、「健康被害が心配」55人(3.0%)、などのマイナスの評価の方がまだまだいらっしゃることです。

また、4月になって日本冷凍食品協会が「平成31年“冷凍食品の利用状況”実態調査について」という詳細な調査結果を公表しました2)。

その結果によると、冷凍食品を利用する頻度は、ほぼ毎日9.5%、週2~3回26.2%、週1回19.4%、月2~3回16.5%、月1回9.7%であり合計80%を超えて利用頻度が高いことは、前述のアンケート結果と傾向は似ています。

さらに、冷凍食品を購入している目的については、一位は自宅で食べる夕食、二位は自宅で食べる昼食、三位はお弁当用となっており、これも同様の傾向でした。

その中で冷凍食品を利用しない人にその理由を聞いた結果がありましたので、下の図に示します。

冷凍食品を利用しない理由【冷凍食品 非利用者(利用経験なし)】(複数回答)

〔資料:(一社)日本冷凍食品協会「平成31年冷凍食品の利用状況実態調査」〕

利用しない理由の回答の中で安全性に関連すると思われる項目は、「中国産が多いから」「添加物を使っていそうだから」「保存料を使っていそうだから」「原材料の産地に不安があるから」など、これも冒頭に紹介したアンケート結果と同様の項目が挙げられていました。

そこで冷凍食品に対する誤解等を解くために、これらの項目に注目してコメントしてみたいと思います。

(1)保存料を使っていそう
保存料については、以前このコーナーのQ&A「冷凍食品は保存料を使ってないって、本当なんですか?」で解説した通りです。

https://frozenfoodpress.com/food-safety-checks2

冷凍食品のパッケージ裏には「-18℃以下で保存してください」という表示がされていますが、これが冷凍食品にとって最も大切なポイントです。この温度にしておけば、腐敗や食中毒の原因となる細菌が活動できないので、保存料は必要ないのです。通常、半年~1年間保存料なくとも腐ったりせず品質が保たれているのが冷凍食品の最大のメリットです。

(2)添加物を使っていそう
添加物が心配だと言う方の多くが、保存料を最も気にしていると聞きます。前述のように冷凍食品は保存料を使っていないので、ではその他の添加物はどうなのか、というと、冷凍野菜など素材系商品はパッケージ裏面の原材料名表示を見て頂ければ明らかです。例えば、人気のあるブロッコリーの原材料表示を見れば、「ブロッコリー」のみしか記されていません。


※ブロッコリーの原材料名表示

調理冷凍食品については、メーカーによって異なるので、やはり裏面の表示を見ていただくのが一番良いと思います。見るといろいろ書いてあって不安、という方に、あえて誤解を恐れずに言えば、調理冷凍食品には、常温あるいは冷蔵で流通されている一般的な加工食品と同様に必要最低限の食品添加物は使われています。しかし、それらの食品添加物は、国が安全性を確認して販売が認可されたものであり、通常の使用範囲で何ら安全性に問題があるものではありません。使われているものは、例えば、調味付けのためのアミノ酸等、粘度を付けるための増粘剤、加工でん粉、着色のための天然着色料、などです。

最近、無添加、〇〇不使用という強調表示をしている商品が増加しているように思われます。多くの消費者は、天然原材料は体に良い、食品添加物は体に悪いと単純に色分けして判断する意識を持っている方が多いようですが、それは理解が不足しているように思います。更に言えば、〇〇不使用と表示していながら、同等の成分を別の方法で加えている場合もあるという記事も見受けます3)。

確かに天然原材料は、長年の食生活から安全なものに淘汰され、現在食されているものは通常の量の範囲では安全なものが残っていると考えられます。そこに消費者の安心感が生まれていると思われます。しかし、例えば野菜等の植物は人間に食べられるために生まれてきたわけではないので、自己防御のため色々な化学物質を産生しており、身近な所にも多くの危険なものが存在しています。じゃがいもの芽、銀杏の実、白いんげんの豆、セロリ、青梅、キャッサバの根(タピオカでん粉の原料)、挙げればその他数多くの天然由来で私たちの健康を損なう可能性のある植物があります4)。

一方、食品添加物は有効な成分を抽出してその安全性を科学的に確認し、最後は動物実験で検証しているわけですので、天然の物質よりも厳しいハードルを越えて世に出ていると考えてよいと思います。
更に、食品添加物は私たちに色々な恩恵をもたらしています。保存性を向上させて食中毒を防ぐ、味の調整でおいしさを増す、粘度を調整して好ましい食感を付与する、等々多くのメリットを食品に与えています。従って、食品添加物だけを必要以上に警戒するのではなく、どんな食品でもメリットとリスクがあることを覚えておきましょう。

(3)原産地表示に不安がある
この意見の中には、中国産は不安だ、国産でなければ安心できない、という意見が多く含まれると思われます。確かに、中国産の食品において10年、20年以上前には残留農薬問題、衛生管理問題が幾度か起こり不安を与えたことがありました。

しかし、このコーナーで何度か記載させて頂きましたが、今では、中国から輸入される食品の違反率は、平成29年度のデータを基に確認すると、届出件数が5万件以上の輸入相手国8ケ国(中国、アメリカ、フランス、タイ、韓国、イタリア、ベトナム、オーストラリア)の中で最も違反率(検査件数に対する違反件数)が低くなったことがデータとして示されました。これは、現地の日本向け食品を生産している工場での衛生管理、残留農薬管理を中心に日本企業の指示のもと、継続的に改善が進められてきた賜物であると思います。

https://frozenfoodpress.com/2019/03/12/food-safety-checks12/

従って、中国産だからと短絡的に拒否するのではなく、産地についても客観的な見方をして商品を選んで頂ければ良いかと思います。

引用文献
1)朝日新聞be:平成31年3月9日
2)(一社)日本冷凍食品協会ホームページNEWS:2019年4月8日、平成31年“冷凍食品の利用状況”実態調査について
3)松永和紀:WEDGE infinity,2019.5.9,食の安全常識・非常識
4)松川・梶山:生物工学、Vol92、556(2014)
「天然由来成分に騙されるな(天然物は本当に安全なの?)」


鳥羽 茂 氏(とば・しげる):東京工業大学大学院卒業後、味の素㈱入社、商品開発業務、調理食品研究所長を経て味の素冷凍食品㈱で品質保証業務に従事、同社定年後約7年冷凍野菜専業の大手企業、ライフフーズ㈱で品質保証業務に従事。神奈川県食の安全・安心審議会委員(現)

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