• Home »
  • 安心・安全 Q&A »
  • 自然解凍で食べられる冷凍食品と「加熱してお召し上がり下さい」と表示された冷凍食品がありますが、どう違うのですか?

自然解凍で食べられる冷凍食品と「加熱してお召し上がり下さい」と表示された冷凍食品がありますが、どう違うのですか?

『冷凍食品についての素朴な疑問シリーズ』

Q. 自然解凍で食べられる冷凍食品と「加熱してお召し上がり下さい」と表示された冷凍食品がありますが、どう違うのですか?

A. 皆さんは、スーパー等で冷凍食品を購入する際、価格以外にパッケージの裏面の表示を見て確認すると思いますが、何を見ますか? まず、国産か、輸入品か、更に原産国や原料原産地でしょうか。どこで作っているか、どこの原料を使っているか気になるので確認する方が多いと思います。

また、ここ10年以上調理冷凍食品の中でも自然解凍の冷凍食品が人気で、弁当などによく使われるため多くの種類が店頭に並ぶようになったので、表示の欄の「加熱調理の必要性」を見る方も多いかと思います。この欄には「解凍してそのままお召し上がり下さい」あるいは「加熱してお召し上がり下さい」の表示があります。なぜこうした表示の違いがあり、どう違うのか説明したいと思います。

パッケージ裏面を見ると下表のような枠で囲われた説明書きがあり、これによってこの商品がどのような特徴のものかわかるようになっています。履歴書のようなものでこれを一括表示と言います。ただし、冷凍食品も色々な分類があり一括表示の項目も異なりますので、ここでは代表的な調理冷凍食品を例に説明します。

(冷凍食品)

名称 <略>
原材料名 <略>
内容量 <略>
賞味期限 <略>
保存方法 -18℃以下で保存して下さい
凍結前加熱の有無 加熱してありません
加熱調理の必要性 加熱してお召し上がり下さい
販売者 <略>

自然解凍により、あるいは加熱により喫食するかどうかに関連している項目は「凍結前加熱の有無」と「加熱調理の必要性」であり、以下の3つに分類されます。

1)凍結前加熱の有無:加熱してありません
加熱調理の必要性:加熱してお召し上がり下さい

2) 結前加熱の有無:加熱してあります
加熱調理の必要性:加熱してお召し上がり下さい

3) 凍結前加熱の有無: →この項目は必要ないので表示無し
加熱調理の必要性:解凍してそのままお召し上がり下さい

1)は、製造工場において最後に行う凍結の前に、殺菌目的の加熱がないことを表わしています。簡単な野菜の湯通し(ブランチング)は酵素失活が目的で、殺菌目的ではないので加熱してありません、従って、喫食時は加熱調理して召し上がって下さい、となります。

2)は、製造工場において殺菌のための加熱はしてあるが、喫食時には加熱調理が必要な商品に表示されます。例えば、製造ラインで蒸し調理の加熱はしていますが、焼き調理がされていない冷凍ぎょうざなどは解凍しただけでは食べられません。また、冷凍炒飯など、温かい状態で食べるものは、レンジかフライパンで加熱調理をしてから食べます。

3)これが自然解凍でOKの冷凍食品の表示です。解凍して常温に戻して(場合のよっては半解凍の温度まで戻して)喫食してもおいしい品質に仕上げてある商品です。朝、弁当に凍結したまま入れると、昼に常温になっておいしく食べることができるので便利ですね。

では、なぜ自然解凍で喫食できるのでしょうか。加熱せずとも細菌は大丈夫なのでしょうか。3つに分類された冷凍食品の衛生規格基準は次のようになっています。
1)細菌数:1g当たり300万個以下、大腸菌:陰性
2)細菌数:1g当たり 10万個以下、大腸菌群:陰性
3)細菌数:1g当たり 10万個以下、大腸菌群:陰性
(注)大腸菌:人や動物の糞便中に存在する病原菌
大腸菌群:大腸菌+自然界に広く存在する糞便由来でない多くの菌で、衛生管理の汚染指標となる菌。

これを見てわかるように、殺菌目的で加熱していない場合には、細菌数の基準が高く、食中毒を起こす恐れのある大腸菌が陰性であればよい、という規格になっています。従って、家庭でしっかり殺菌も兼ねて加熱調理して食べて下さい、ということです。

それに対し、2)3)は殺菌してあるのでそのまま食べても細菌に関しては問題ありませんが、2)はそのままでは品質的においしくないので調理して食べて下さい、3)は解凍すればそのままおいしく食べることができるということです。

ここで疑問が生じるかも知れません、「1g当たり10万個以下」というのは高い!と。しかし、病原菌ではない細菌は、私達の周りには沢山存在していて一緒に生活しているのです。このレベルでは食べても何も問題ありません。更に、基準は10万個以下となっていますが、市販の自然解凍の冷凍食品の実態を見ると1g当たり数百個以下がほとんどです。

細菌がある程度あっても問題ないことを、野菜を例に説明します。東京都が市場に流通している、生で食べられる可能性のある野菜237検体の細菌数を調べた結果があります1)。細菌数は、1g当たり100~10億個(平均100万個)でした。水洗により10分の1程度にはなりますがこのレベルの細菌数の食品を、私たちは日常的に食べているのです。決して私たちは、菌数が0の食品を食べているわけではないのです。もちろん、病原菌が付着した食品は食べてはいけないので、その指標として大腸菌群の規格があり、大腸菌群陰性の食品であればそのまま食べることができるというわけです。

図1 野菜の分類群別の検査結果分布図(抜粋) 1)

また、弁当用の自然解凍冷凍食品については、(一社)日本冷凍食品協会が取扱要領を発行しており2)、夏場の弁当を想定して、35℃9時間の保存にも耐えられる弁当用の規格基準を満たすことを求めています。冷凍食品各社はその要領に沿って管理をおこなって安全な冷凍食品を生産し販売しています。「自然解凍OK」と表示して販売されている商品は、加熱殺菌されており、かつ、クリーンルームに等しい環境で包装されているので、自然解凍するだけで、安心して食べられるのです。

自然解凍の冷凍食品が伸びてきた理由には、ニーズと共にこのような技術的背景があることを理解して、大いに活用して頂ければと思います。

参考文献
1)東京都福祉保健局:野菜の衛生学的実態調査結果(平成24年12月)
2)日本冷凍食品協会:一般家庭向け弁当用自然解凍調理冷凍食品等の製造・販売に係わる取扱要領(平成19年5月)


鳥羽 茂 氏(とば・しげる):東京工業大学大学院卒業後、味の素㈱入社、商品開発業務、調理食品研究所長を経て味の素冷凍食品㈱で品質保証業務に従事、同社定年後約7年冷凍野菜専業の大手企業、ライフフーズ㈱で品質保証業務に従事。神奈川県食の安全・安心審議会委員(現)

コメントを残す Comment

*

Share