安心・安全Q&A

Q. 冷凍食品は保存料を使ってないって、本当なんですか? 冷凍野菜が色鮮やかなのは何か使っているんでしょう?

冷凍食品の安全性に関するみなさまの不安や疑問に対して、公正な立場から嘘偽りなく、正しい見識や最新データ・情報に基づいてお答えすべきと考えて設置いたしました新コーナー「安心・安全Q&A」。第2回の今回は、冷凍食品が保存料不使用だということを詳しくご説明いたします。また、冷凍野菜について、よく耳にする不安にお答えします。

引き続き、「答える人」は、冷凍食品の品質保証エキスパート鳥羽 茂 氏です。経験豊かな専門家からの答が、みなさまの安心につながるよう願っております。

Q1.冷凍食品は保存料を使ってないって、本当なんですか?

冷凍食品は冷凍庫に保存しておくとどうして半年や、1年もの間、腐ったりせず品質が保たれているのでしょうか。

冷凍食品のパッケージ裏には「-18℃以下で保存してください」という表示がされていますが、これが冷凍食品にとって最も大切なポイントです。この温度にしておけば、腐敗や食中毒の原因となる細菌が活動できないので、保存料は必要ないのです。

少し説明を加えてみましょう。一般的に、水分を含んだ通常の食品は常温に置いておくと腐敗して食べられなくなりますが、食品が腐敗するには3つの条件が必要です。

それは、
1.適度な温度に保たれていること、
2.食品にある程度の水分があること、
3.腐敗の原因となる細菌がいること。

この3つの条件のどれかを無くしてやれば細菌が活動できなくなり、食品は腐敗せず長く保存できるのです。

1.の条件を無くしてあげる、即ち冷凍にして細菌が活動できなくする ⇒冷凍食品です。
2.の条件を無くしてあげる、即ち乾燥させて細菌が活動できなくする ⇒乾燥食品です(ドライフルーツ等)。
3.の条件を無くしてあげる、即ち完全に殺菌する(滅菌と言います) ⇒缶詰、レトルト食品です。
 

この中で、乾燥させたり熱で滅菌したりすると、元と別の品質に変わったり、品質が損なわれることが多く、冷凍が最も品質が保持される保存方法であると言えると思います。

 なお、常温と冷凍の中間の温度帯でチルド領域(5℃~10℃)で流通しているチルド食品がありますが、この領域では細菌がゆっくり活動するので、それを抑えるために食品を弱酸性にする(pHを下げる)方法があります。
 パッケージ裏の原材料欄に「pH調整剤」と表示した食品がありますが、その目的のために添加しているもので、もちろん安全性が確認されたものを使用しています。  

 冷凍食品は、腐敗せず、品質が長期間保たれるすばらしい食品と言えます。

Q2.冷凍さといもが真っ白なのは漂白剤を使っているから?

 冷凍さといもは、形、大きさがきれいに揃っていて、色は真っ白のものが多いですね。どうしてそうなるのでしょうか。

 一般的な冷凍さといもの製造工程は次の通りです。
・洗浄→皮むき→洗浄→サイズ選別→ブランチング→冷却→冷凍→袋詰


皮むきは、機械を使っていも同士をこすり合わせて表面から削っていくのですが、重量で50%以上も削っているので、形が球形に近くなり、色も真っ白になります。

そして、さといもは通常の調理のように加熱すると、その後空気に触れて褐変しやすくなりますので、軽くブランチング(湯通し)する事によって白さを保ちます。

皮が一部残っているものは下の写真のように目視で選別していきます。

 従って、漂白剤は一切使っていませんので、ご安心下さい。

 皮むきで50%以上削るのはもったいない印象を受けますが、皮が残っていると嫌がる消費者の方がいらっしゃるのも事実です。なお、削ったものは畑に戻してすき込み肥料とします。

Q3.冷凍のほうれん草やブロッコリーなど、緑が鮮やかなのは着色しているから?

 ほうれん草やブロッコリーに限らず、緑色の冷凍野菜は着色など一切していません。なぜ、緑色が鮮やかなのでしょうか。

 一般的な冷凍ほうれん草の製造工程は次の通りです。

  ・選別→洗浄→ブランチング→冷却→カット→冷凍→袋詰

 ブランチングという、短時間の加熱を行った後は速やかに冷水で冷却し、水切りして急速冷凍を行います。

 野菜の緑色は、細胞に含まれているクロロフィルという物質によるものです。生の野菜の中では細胞と細胞の間にはわずかの空気が存在していて、クロロフィルの緑色はそのためくすんで見えます。しかし、ブランチングのため沸騰水に入れると、空気は膨張し外に出て行き、緑色が鮮やかに見えるのです。

ただし、クロロフィルは長時間の加熱や酸によって、フェオフィチンという緑褐色の物質に変化してしまいます。従って、ブランチングが終わったら速やかに冷水で冷却して、クロロフィルの変化を止めてやれば、鮮やかな緑色が保てるというわけです。

九州の冷凍ほうれん草工場での選別作業

 冷凍野菜の工場では、野菜によってブランチング時間を調整し急速水冷、急速凍結によって、高い品質を提供しているのです。着色など無縁です。


鳥羽 茂 氏(とば・しげる):東京工業大学大学院卒業後、味の素㈱入社、商品開発業務、調理食品研究所長を経て味の素冷凍食品㈱で品質保証業務に従事、同社定年後約7年冷凍野菜専業の大手企業、ライフフーズ㈱で品質保証業務に従事。神奈川県食の安全・安心審議会委員(現)

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