安心・安全Q&A

『冷凍食品についての素朴な疑問シリーズ』 コロナ禍後の中国食品の品質は大丈夫ですか?

コロナ前と変わらず、違反率は低く維持されています

このコーナーでは中国食品の品質、安全性を継続して取り上げてきましたが、コロナ禍を経て中国食品の現状はどうか、適正に管理が行われているか、データを基に調べてみたいと思います。

日本向け食品を生産している中国の工場において、日本人駐在員や日本企業の指導のもと、衛生管理、残留農薬管理など継続的に改善が進められ中国食品の安全性が向上してきたことは以前から説明してきました。しかし、コロナ感染が蔓延して日本企業からの出張指導が制限された状態になった時期に、それらがどうなっているか懸念があったので、今回再々度、厚生労働省の輸入食品監視統計を基に、輸入食品の違反率の最新情報を解析してみました。

図1

図-1は、令和5年度の輸入食品監視統計から、届出件数が多い輸入相手国8ケ国(中国、フランス、アメリカ、タイ、韓国、ベトナム、イタリア、オーストラリア)を取り上げ、検査件数、違反件数、違反率(検査件数に対する違反件数)とその順位を表にしたものです。

まず、届出件数が多い8ケ国は、順位の若干の変動はあるもののここで取り上げ始めた平成26年以降変わってはいません。輸入相手国に変動はないということです。そして、中国が飛び抜けて1位であることも変わりはありません。

次に違反件数と違反率をみたいと思います。中国の違反件数は、輸入量が多いので必然的に多くなりますが、違反率でみると約0.24%で8ケ国の中で2番目に少ない順位です。イタリア、オーストラリア、アメリカなどよりはるかに少ない違反率です。1位のフランスは果実酒がメインなので違反が少ないと思われます。以前のデータ(例えば平成26年度0.27%、平成29年度0.25%)と比べてほとんど変化はありません。逆に僅かに下がったとも言え、低い違反率は維持されています。なお、アメリカが最も違反率が高いですが、これは生鮮アーモンドや穀物のカビ毒によるもので年によって変動します。

以上は輸入品全体での違反実績ですが、その中で、輸入量の多い冷凍食品(厚生労働省の分類に基づく野菜、魚の冷凍食品)に注目して中国の違反率の経年変化を平成22年度から令和5年度までグラフにしたのが、図-2です。

これを見ると、年によって変動はありますが全体では漸減傾向にあり、低く推移しているのがわかります。そして、コロナ禍であった令和2~4年度の期間も大きく増加した状況ではなく、低い違反率が維持されていることがわかります。

図2

以上のことからわかるように、近年の中国はコロナ禍の期間も含めて、違反は低位で安定しており、むしろ他の輸入先の諸外国よりも改善が進んで、原料産地や製造工場の管理状態は大きな問題がない状態を維持、更に向上させていると言えると思います。

20年近く前は、残留農薬問題、メラミン混入事件、等により「中国食品は危ない」というイメージを消費者が抱くようになってしまいましたが、現在の中国は政府をあげて安全管理に取り組み、そうしたイメージを払拭しつつあります。日本の一部業者が昔のイメージを捨てきれず、産地偽装を行うことはもう止めにすべき時です。


鳥羽 茂 氏(とば・しげる):東京工業大学大学院卒業後、味の素㈱入社、商品開発業務、調理食品研究所長を経て味の素冷凍食品㈱で品質保証業務に従事、同社定年後約7年冷凍野菜専業の大手企業、ライフフーズ㈱で品質保証業務に従事。東京農業大学非常勤講師、神奈川県食の安全・安心審議会委員歴任。

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