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冷凍食品は第5番目のFRESH(生鮮)に! ヨーカドー赤池店の挑戦から量販店売場の近未来を描く

昨年11月にオープンしたイトーヨーカドー赤池店(愛知県日進市)の冷凍食品売場写真だ。通常冷凍食品売場は、壁面ではなく、内側のグローサリーと日配の中間位置にある。既に本サイトでは同店オープン時に概要を伝えているが、前列の無い衝撃的なビジュアルである。しかも同売場は、フードコンシェルジュ(メニューサポートコーナー)を併設し、週替わりの商品紹介が行われている。コーナーのディスプレイに映っているのは、同店開店時に発売されたPB本格ナポリピッツァを監修した有名ピッツァ職人、山本尚徳氏(中目黒「ダ・イーサ」オーナー)である。同コーナーで紹介する第一弾商品として採用されて、積極的に試食販売を展開し、今でも同ピッツァは売場の人気商品だという。

本日付(2018年6月25日付)の日本食糧新聞の企画で、この売場を仕掛けたイトーヨーカ堂の小笠原優マーチャンダイザーにインタビューの機会を得た。面談中、5割引の価格破壊で10年の暗黒を作った責任をこちらから問う前に、氏から反省と価格志向に頼らない拡販策を模索し続ける決意が語られた。1本取るつもりの返り打ちを楽しく受け止めた。

家庭用冷凍食品の販売店では最大ボリュームと推察できるヨーカドーだが、既存店売上の前年度実績は横ばい、3月-5月の第1四半期も前年レベルという。コンビニ、ドラッグストア、ディスカウントストアの取り扱い増の影響を受けていると氏は分析している。対抗策の一つに、同店でしか買えない開発商品を挙げた。さらに、売場作りでは、赤池店のモデルを早急に増やすことは難しいが、冷凍食品をデリカの一部と考えて配置した同店のコンセプトを広めるべく、冷凍食品のショーケースをデリカのあるコンコース向きに配置していく改革を進めつつあると聞いた。

30年近くの昔話になるが、惣菜産業が台頭してきた時代、「生鮮三品の次、四品目が惣菜なんです」と熱く語った惣菜企業オーナーがいた。確かに、今や中食市場規模は10兆円を突破し、惣菜は無くてはならない食品ジャンルになった。魅力的なメニューを揃えた惣菜売場を持つ店舗の人気は高い。ヨーカドー赤池店の売場を見た時、瞬時に『生鮮四品』を語った方の顔が思い浮かび、そして、冷凍食品がFRESHと認識され、『生鮮五品目』と高く評価される未来を思い描いた。

当サイト名の「エフエフ」は、FRESH FROZENの頭文字を取った。冷凍食品の真の価値を伝えたいという思いからだ。これを売場で成し遂げられるのは、生鮮三品とデリカを育ててきた量販店なのである。現状、他の小売業態に比べて量販店は苦戦している。無店舗業態の攻勢もますます強くなろう。大きな改革を進めるべき時代に入った。しかし、1店1店が地域の生活者と向き合い、人々の豊かな食と健康を支える気持ちと商品提案を行っていけば、維持発展の道が開けると考える。その発展の過程には、冷凍食品が重要な役割を担っていくことになると確信する。

 

 

 

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