とっても人気のフランス「Picard」。実は、英国にも冷凍食品専門店はたくさんあって、冷凍食品の1人当たり消費量世界一なのです
11月23日にオープンした冷凍食品専門店「Picard(ピカール) 青山骨董通り店」、開店を待って200人が行列したとか。
翌日行ってみましたが、予想以上の大反響だったようで、売れすぎて商品補給が間に合っていないものも多くありました。
厳選して揃えた200品(本国には1200品くらいあります)が、けっこう受けているようです。価格帯もイオン内ピカールコーナーで感じられた「うーん高いな~」というところから少しダウンしている感じがあります。為替の関係かそれとも、南青山という土地柄かと思いを巡らせたのですが、4年間の実験成果で効率的な商品供給体制を築いてきたということなのでしょう。
さて、1970年代から始まってフランスの人気ブランドになっていったPicardですが、英国でも同時期から冷凍食品専門店が生まれて、いま、「Iceland」という大チェーン店と、こだわり商品を揃えた「COOK」という新チェーンが、手軽で美味しいレディミールとして支持されています。
実は、英国は冷凍食品の国民1人当たり消費量世界一なのです。
英国のレディミール視察から帰ってきた、道畑美希氏(Foodbiz-net.com代表)にリポートをいただきました。
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冷凍食品専門スーパーCOOK 工場潜入記 道畑美希
惣菜のロングライフ化が進んでいます。コンビニに並ぶ『袋もの惣菜』に『チルド弁当』。消費者が知らぬ間に、これらのシェアが高まります。惣菜のロングライフ化の背景には、食品ロスや製造の場の人材確保などの課題があります。
*)ロングライフ化については
Foodbiz asia 記事
惣菜のロングライフ化の先進国である英国へ、一般社団法人日本惣菜協会の有志メンバー10名で、10月下旬、視察ツアーに出かけました。
英国では、チルドのレディミール(惣菜)が勢いを増しており、伸び悩む食品市場において、チルドレディミールは、年率数%の伸びで成長を続けており、現在の市場は、31億£。食品市場全体の3%ほどですが、最も期待される分野です。
一方で、冷凍レディミールも、英国にはユニークな企業があります。冷凍食品専門スーパー、Icelandは、創業1970年の老舗。現在860店を展開しており、1食1£、2£と低価格、素材から調理済みの冷凍レディミールまで、圧倒的な商品数を誇ります。
労働者階級が主な客層といわれていますが、何品か食べてみたところ、なかなかのものです。
*)2015年英国視察記事
Icelandと同様、冷凍食品を製造・販売するCOOK社は、創業19年の比較的若い企業です。同社の冷凍レディミールは、少し高価で高品質のプレミアムレディミールを提供しており、商品パッケージや店舗のインテリアもパステル調で、かわいらしく、感度の高い女性客を惹きつけそうなデザインです。
今回の視察ツアーでは、COOK社を訪問し、工場を見学してきました。
対応してくれたDale Penfold氏は、創業者のひとりで、現在チーフダイレクターを務めています。Dale氏曰く、良い材料を選び、美味しいものをつくることが信条であり、自社で販売することを徹底しているとのこと。現在フランチャイズ店を含む83店舗、コンセッションといわれる個店内での売り場、そしてオンライン販売のみ、決してスーパーマーケットには供給しないという姿勢です。年率は15%で伸びているが、それ以上は伸ばさず、持続的な成長を目指しているといいます。
チルドではなく冷凍を選んだ理由としては、①保存料や添加物を使用しなくて済み、質の高いものが提供できる、②食品ロスが少ないこと、③計画的な仕入れや製造が前もって計画できること、④顧客にとっても買い置きができることなどを挙げ、美味しさだけでなく、生産性を追求していることが印象的でした。
事業だけでなく、従業員、環境や地域コミュニティに貢献することにも力を注いでおり、BCorp(ビーコープ)という事業団体に所属しています。工場内は、ほとんど手作りのラインで、あちこちで「チーム」という言葉が目につきます。何より、工場でも、チームビルディングを大切にし、例えば、会社の創立記念日は、全員、全部を休みにして、リクリエーションに行くなど、チームビルディングの機会をつくっているそうです。*)Bcorp
惣菜のロングライフ化という技術、販売の手法など、学ぶことが多かったレディミール視察ツアーでしたが、何よりCOOK社で何度も経営者が口にした言葉「よい材料で、おいしいものをつくりたい」という信念は、最も印象に残っています。
Miki Michihata 道畑美希 foodbiz-net.com