「安全から“安心”に変える」 ブロッコリー産地の中国・響水県で第12回日中冷凍野菜品質安全会議~凍菜協20周年・消費者代表も招く
ブロッコリーの一大産地として成功している、中国・響水県に行ってきました。いま、まさに収穫期。
約20km、右も左も広大なブロッコリー畑という「ブロッコリーの道」がありました。
訪中の第一の目的は、11月22日に響水開元名都温泉酒店・ホールで開催された「第12回日中冷凍野菜品質安全会議」に出席することでした。
同会議は、日本側は輸入冷凍野菜品質安全協議会(略称・凍菜協、中井清典会長:ニッスイ)、中国側は中国最大の食品業界団体である中国食品土畜進出口商会(以下土畜商会)によるもので、コロナ禍が明けて5年ぶりの開催です。【注:進出口=輸出入】
出席者148名の大会議。日本側の出席は35名で、メーカー・商社など凍菜協会員企業の品質保証部門代表と事務局、北京の在中国日本大使館から佐々木菜保子経済部一等書記官。そして、凍菜協からの視察要請に応じた消費者団体代表者として、全国消費者団体連絡会の郷野智砂子代表理事と(一社)FOOD COMMUNICATION COMPASSの森田満樹事務局長が出席しました(写真㊦)。
土畜商会代表として開会挨拶に立った、于露副会長です。日中会議は午後からでしたが、当日午前中は、土畜商会冷凍野菜分会の会員代表大会でした。于副会長は、冷凍野菜の輸出量の成長率は、野菜全体成長率を上回り、今年1-9月実績も好調であること。冷凍野菜輸出相手国として日本は第1位であり、全体の30%を占めることなど、日中冷凍野菜貿易の重要性を語り、「食品安全はより広い意味を含むようになりました。気候変化に対し世界規模の努力により食品安全を実現する方向へ向かうということです。この会議が冷凍野菜のさらなる安全安心につながるよう祈ります」と挨拶しました。
続いて登壇した中井会長は、5年ぶりの会議ということで、今年設立20年を迎えた凍菜協の取組み経緯をスライド資料を交えて紹介しました。同協会は、2002年に発生した中国産冷凍ほうれん草の残留農薬違反を受けて、業界全体での取組みにより、安全・安心の品質を確保するために2004年5月に設立され、今年20周年を迎えました。
品質管理基準評価の実施、認定をはじめ、日中の共同会議開催、生産地での的確な試験技術の向上に努めたこと。残留農薬管理に必要なガイドラインを策定して、それを公開したことなど、さまざまな取組みが成果を挙げてきました。それにより、冷凍野菜輸入量は伸び続け、しかも輸入検査違反、クレームが劇的に減少しています。
中井会長はこれからの課題として、「さらに安全と品質を向上させて、安心を目指す」「安全安心の取組み成果を日本の消費者に伝えること」という2つのテーマを示し、消費者代表で会議に今回参加いただいた郷野氏と森田氏を紹介しました。
そして「重要なのは、安全(確保)から「安心」に変えていくこと」と繰り返し強調し、日中企業が協力して取り組む姿勢を示しました。
会議には、県政府から郭超書記が出席して祝辞を述べ、農産物生産事業における響水県の優位性を語りました。
会議冒頭の模様は、現地メディアの取材が入り、テレビのニュースでも紹介されました。
日本政府からは佐々木一等書記官が「食品用器具・容器包装のポジティブリスト制度」について解説する講演。
冷凍野菜分会の徐棟理事長・浙江海通食品業務総監が、「税関による中国輸出冷凍野菜の監督管理について」講演しました。
休憩をはさんで後半は、凍菜協金子茂靖副会長(ノースイ)による講演「輸入冷凍野菜及び凍菜協の課題」。
冷凍食品エフエフプレス・冷凍食品ジャーナリスト山本純子の講演「日本の冷凍野菜トレンド~コロナのインパクトとこれから」が行われました。