ロングラン人気商品を誇りに! 業界50年、家庭用ヒット商品を振り返る
ヒット商品(発売年)で振り返る冷凍食品業界50年
1968 | 昭和43年 | ニチレイ | ミニハンバーグ(発売当時はミニバーグ) |
1969 | 昭和44年 | ニッスイ | かにクリーミーコロッケ |
加ト吉(テーブルマーク) | ソフトえびフライ | ||
1972 | 昭和47年 | 味の素 | ギョーザ、シューマイ |
1973 | 昭和48年 | ユニチカ三幸(ケイエス冷凍食品) | 肉だんご |
1974 | 昭和49年 | 加ト吉(テーブルマーク) | さぬきうどん |
1975 | 昭和50年 | 明治乳業(明治) | ピッツァ&ピッツァ |
1977 | 昭和52年 | 味の素 | エビピラフ、エビ寄せフライ |
1978 | 昭和53年 | キンレイ | アルミ鍋入り鍋焼うどん |
1979 | 昭和54年 | ニチロ(マルハニチロ) | おべんとうとんかつ |
1984 | 昭和59年 | オレアイダ(ハインツ日本) | シューストリング 日本発売 |
1987 | 昭和62年 | ニッスイ | ちゃんぽん、たこ焼き |
1988 | 昭和63年 | 大塚食品 | マイクロマジックフライドポテト |
ニチレイ | からあげチキン | ||
1989 | 平成元年 | ニッスイ | 焼きおにぎり |
1993 | 平成5年 | ユニチカ三幸(ケイエス冷凍食品) | 鶏つくね串 |
1994 | 平成6年 | ニチレイ | 新・レンジ生活 衣がサクサク牛肉コロッケ |
1995 | 平成7年 | 日清製粉(日清フーズ) | お弁当用スパゲティナポリタン(いろいろ便利な) |
1997 | 平成9年 | 味の素 | やわらか若鶏からあげ |
日本ハム | 中華の鉄人陳建一 国産豚の四川焼売 | ||
1998 | 平成10年 | 雪印乳業(マルハニチロ) | えびとチーズのグラタン |
ニチロ(マルハニチロ) | 横浜あんかけラーメン | ||
1999 | 平成11年 | ニッスイ | 自然解凍 お弁当に便利シリーズ |
日清製粉(日清フーズ) | ソテースパゲティナポリタン | ||
加ト吉(テーブルマーク) | ごっつ旨いシリーズ | ||
ニチロ(マルハニチロ) | そばめし(2000年3月全国発売) | ||
2001 | 平成13年 | ニチレイ | 本格炒め炒飯 |
明治乳業(明治) | レンジピッツァ&ピッツァ | ||
2002 | 平成14年 | 日清フーズ | 青の洞窟シリーズ |
2003 | 平成15年 | 日本製粉 | オーマイプレミアムシリーズ |
2004 | 平成16年 | 日本製粉 | お弁当たらこスパゲッティ |
2005 | 平成17年 | ニチロ(マルハニチロ) | あおり炒めの焼豚炒飯(当時:中華炒飯) |
2010 | 平成22年 | 日清食品冷凍 | スパ王プレミアムシリーズ |
2011 | 平成23年 | 日清食品冷凍 | もちっと生パスタシリーズ |
2012 | 平成24年 | 味の素 | ギョーザ・リニューアル(油なし・水なし) |
キンレイ | お水がいらないシリーズ | ||
2014 | 平成26年 | イートアンド | 大阪王将 羽根つき餃子(油いらず・水いらず) |
2015 | 平成27年 | ニチレイ | 本格炒め炒飯・リニューアル |
味の素 | ザ★チャーハン | ||
2016 | 平成28年 | 味の素 | ザ★シュウマイ |
2017 | 平成29年 | ニチレイ | 特から |
2018 | 平成30年 | イートアンド | 大阪王将 羽根つき餃子リニューアル(フタいらず) |
味の素 | しょうがギョーザ |
※ブランド・社名について ニッスイ=日本水産、ニチレイは日本冷蔵→ニチレイ(1985)→ニチレイフーズ(2005)、味の素は2000年10月以降:味の素冷凍食品
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日本の冷凍食品の歴史は、北海道森町に初の冷凍庫が稼働してから今年で99周年、7月には、(一社)日本冷凍食品協会が創立50周年の節目を迎えた。50年前の3月に創刊した「冷凍食品新聞」は、当時まだ唯一の冷凍食品専門紙として、業界団体発足の報を水産関連の専門紙と共に伝えた。
「冷凍食品新聞」50年の中で4年前までの34年間勤務した立場から、なつかしい思いも込めて、家庭用冷凍食品の調理食品を中心にヒット商品を振り返ってみた。
冒頭に掲げた一覧は、過去50年、その時々に話題を集めた家庭用冷凍食品のヒット商品である。そして、改良を重ねながら現在も売場にあり、販売ランク上位の人気商品だ。一つひとつ発売年を追って、そして思うことは、発表された時に心が躍る、さらに話題商品になって追いかけ、さらにわくわくした商品ばかりだということ。報道の立場から見ても頼もしく感じる、業界の発展をリードしていった商品。開発者の喜び、達成感はいかばかりか。
販促、販売に関してもそれぞれ、CMソング、起用したキャラクター、店頭の販促企画、懸賞キャンペーン等々思い浮かぶ。カトキチエビフライのCMソング、ピッツァ&ピッツァの伸びるチーズを表現した映像、ニチロが起用したマンガ「ドカベン」などなど。「レンジでチンする」という表現は、大塚食品がマイクロマジックの発売時、人気絶頂のアイドルグループ光GENJIを起用し、彼らがローラースケートを滑りながら歌うCMソングで定着した。
50年以上売れ続けているニチレイの「ミニハンバーグ」(写真は、1970年発売商品と2018年の50周年記念パッケージ)をはじめ、長年の売上№1、年間売上約200億円の味の素「ギョーザ」は発売47年、カトキチさぬきうどんは45年という歴史を刻んでいる。ロングラン人気商品を誇れる業界である。実にバラエティ豊かに『なんでもある』冷凍食品だからこそ、メーカーが多数共存し、常に話題商品が開発され、売場に人を集めてきた。
★フライ、レンジ、自然解凍、さらに?★
家庭用冷凍食品の成長エンジンとなったのは、「お弁当」である。その転機は、ニチロの「おべんとうとんかつ」(1979年)だった。なんと40年も前のこと。お弁当にどんなものを入れているかを調査したところ、前の日の夕食で余ったとんかつが人気。ではお弁当用専用を開発しようというのがきっかけだったと聞く。
「おべんとうシリーズ」は大ヒット、他社もお弁当をターゲットにした商品をシリーズ化していき、お弁当には冷凍食品というイメージが出来上がった。
お弁当用への提案と並行して、「レンジ調理」というポイントも冷凍食品の需要を伸ばした。
マイクロマジック発売の2年ほど前から、ピラフやスパゲティを電子レンジで調理するという商品は登場していたが、マイクロマジックに続いて翌1989年発売のニッスイ・焼きおにぎり、1994年のニチレイ新・レンジ生活といった冷凍食品によって電子レンジ調理は主流になっていった。
そして、お弁当用のさらなるエポックは、『自然解凍』の登場である。1999年ニッスイの和惣菜に始まり、お弁当用フライ商品も自然解凍対応が進んでいった。
2000年台はニチロ「神戸名物そばめし」の大ヒットで幕開けし、レンジで簡単な1食完結型パスタ類が大きく伸びていく。そして直近では、主食系、夕食系商品の開発競争が市場の拡大を促してきた。2015年からの炒飯戦争(ニチレイ、味の素、マルハニチロ)、2017年からのからあげ戦争(ニチレイ、味の素)、そしてぎょうざ系バトル(味の素、大阪王将)と続く。その美味しさへの驚きが、「進化」というキーワードと共に語られ、注目されるようになってきた。
さて、冷食協統計の冷凍食品の国民1人当たり年間消費量は、50年で28倍以上になって22.9㎏(2018年)。平成の30年間で見ると2.2倍に伸びている。しかしながら、世界ランキングでは、まだ5位。トップのアメリカの半分ほどしかない。50年といえども歴史はまだ浅く、今後も伸び続けることができると期待される食品なのである。
今後も、ここに掲げた商品に加えて、ヒットし、ロングランの人気商品となる商品が次々開発されることだろう。かつて人気故に価格訴求を招いてしまったお弁当商品による需要拡大の時代とは異なり、現代は、より便利な機能、そして品質、美味しさを競っていることを歓迎したい。
今後、更なる開発競争が、より高い価格帯でも繰り広げられることで、冷凍食品にまた、従来とは異なる進化が訪れるのではないかと期待している。