消費者に近いところで冷凍食品コミュニケーション
過日、ららぽーと横浜・イトーヨーカドーでのイートアンド「大阪王将 羽根つき餃子」のイベントを取材した。今年で起用3年目というタレント鈴木奈々さんの明るく親しみやすいキャラクターの力も大いにあるのだが、イベント会場、売場で冷凍食品を中心に笑顔のコミュニケーションが生まれる現場にいて、心が躍った。やはり、消費者に近いとろこで、明るく声を大にして、冷凍食品の美味しさ、素晴らしさを訴えていくことによってこそ、需要拡大のきっかけを生み、冷凍食品全体の評価も高まっていくと実感した次第。
マッチョな男性陣(オールアウト)の肩車で登場し、筋肉の話題で明るくはしゃぐところからテレビでおなじみのタレントのしぐさに釘付け、そして鈴木奈々さんは、「うちでもよくダンナと食べる」「12個入りでね、こんなにきれいに羽根つき餃子が5分で焼けるんですよー」「保存料がいらないんです」「(子供に)食べてみて、美味しい?良かったー!」と庶民的なトークながら、一つひとつ商品特長をしっかりと伝えていく。
ステージでヨーカドーの特売価格を宣伝して、「行ってみヨーカドー!」と声を合わせる。商品券やフライパンが当たる抽選会と盛り上げる。
特設売場に移動すると、イートアンド仲田専務が自らハッピを着て、買い物かごを担ぎ会場作り、それに応じてイトーヨーカ堂の清野マーチャンダイザーも、そのかごを受け取り売場に目を配る。消費者に楽しく笑顔で買い物をしてほしい—製販の思いはひとつだ。そして、登場した鈴木奈々さん、5個まとめ買いの列が途切れるまで延々と握手、ハグ、記念撮影、赤ちゃんの抱っこと精力的に笑顔で応対する。1年に10店と限られた取り組みながら、このようなイベントを通じ、楽しい、美味しいと訴え続けていくこと、これが少しずつ消費者の心をつかむ力となる。
イートアンドによると、本年第1四半期の冷凍餃子マーケットは前年同期比113%。その中で同社は113.7%という。もちろん№1アイテムの味の素冷凍食品「ギョーザ」も伸びて市場全体に勢いがある。味の素冷凍食品も、10月から「よしもとコラボ」の売場誘導キャンペーンを展開する。新たな需要増拡大へと今から期待が大きい取り組みである。
さて、消費者に近いPRといえばテレビだが、5月末放映の「マツコの知らない世界」以降、いろいろ思いを巡らせていた。人気タレントが「美味しい」と言ったら売れる。しかし、一過性の現象なら、生産・供給の混乱を招くだけで意義はあるのかという思いだ。しかしながら、ヨーカ堂清野マーチャンダイザーによると、「マツコ」以降、売場全体が底上げになったという。一過性となってしまう部分ももちろんあるのだが、その中で商品が気に入ってリピートする人が何割かいて需要が育っている。また、手前味噌だが、保存料不要、野菜はゆでて冷凍しただけ、という優位性も直接訴えることができたことも、需要底上げに貢献しているのではないかと思う。
だが、まだまだ道半ば。手渡し販売イベントで1番に並んで待っていた小さいお子さんを連れた女性曰く「冷凍食品は普段食べない。保存料やいろいろ入っているから。子供のころ母親から聞いたこと」。いやそれは誤解、-18℃以下で腐敗の原因となる微生物は繁殖しない、腐らないんです、と説明したところ、目を丸くして晴天の霹靂という表情だった。消費者に近づき、繰り返し話すこと、コミュニケーションすることの大切さを肌身で感じた次第。
ぜひ、多くのメーカー、流通、売場が、冷凍食品コミュニケーションを心掛け実践していくことを願う。