冷凍めん協北海道研修日程終了、西山製麺訪問、芽室で北海道小麦の現状を学ぶ
一般社団法人日本冷凍めん協会は、6月21日から23日の日程で、2022年度北海道研修を実施(視察団長:キンレイ白潟昌彦取締役副社長)、現地での合流も含め32名が参加し、札幌の西山製麺を皮切りに芽室地区では農研機構(農業・食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター芽室研究拠点)で国産小麦品種の現状を学びました。また、JAめむろを訪問、小麦・豆類の大規模調整施設、収穫間近の小麦圃場視察など充実した3日間でした。
冷凍めん協会の視察企画は3年ぶり。ワクチン3回接種確認、大型バス2台に分乗しての移動など、コロナ感染防止対策を徹底しての実施でした。国内麦についてはメーカーの関心も高まっていて、タイムリーな視察となりました。また、同業メーカーの工場視察、意見交換は、相互の大きな刺激になったようです。元祖札幌ラーメン、西山製麺の西山隆司社長からのレクチャーは、「西山製麺の歴史と海岸戦略~札幌ラーメンの誕生秘話と未来~」。
西山製麺創業者、西山孝之氏(西山現社長の父)が、札幌ラーメンの特長である黄色い卵入り多加水熟成・縮れめんを開発したのは1955年。
ラーメン屋台の製麺部門が評判を呼び、業務用生ラーメン専門メーカーとしての創業が1953年。美味しいラーメンの研究をつづけ「美味しそうなきれいな色にしたい」という発想から黄色が選ばれたそうです。
視察団の関心を呼んだのは、札幌市内80%の小学校で3年生の社会科授業に組み込まれている札幌ラーメンの学習。そして、西山製麺が今や世界33カ国・地域に冷凍で輸出している札幌ラーメンでした。
工場を見学して学び、テストもあります。
小学校のワークブックの表紙に西山ラーメンの見学と分かるイラストが採用されたときには、西山社長もびっくり。札幌ラーメンが札幌市の誇る食文化として定着している証ですね。
西山製麺視察プログラムに参加した木村富雄ニップン上席執行役員製粉事業本部長㊧、西山社長㊨。
本社プレゼンテーションルームに掲示されている写真は、西山製麺が輸出したラーメン、スープなどを使用している世界各国のラーメン店です。
西山製麺は独資の現地法人を設立して、札幌本社から直接ラーメン原材料を輸出しています。現地法人は、2014年ドイツ・デュッセルドルフ、同年米国ワシントンD.C.:現在はニューヨーク(現持ち株会社)、2016年ニューヨーク、2019年シンガポール。
「美味しいラーメンを作りたいという人がいたのでドイツからのスタート」(西山社長)だそうです。
ラーメン店を出したいという人には、国内外問わず本社プレゼンルームで指導します。炎を上げながら野菜を豪快に炒める札幌ラーメンは、「目で見て、音を聞き、香りを楽しめる料理ショー」(西山社長)。
西山社長の予想は「RAMENはSUSHIを超える」でした。冷凍という時間を止めて空間を超越する手段があってこそ、世界に日本の食文化、札幌の食文化が広まっていくんですね。
視察2日目、農研機構では、北海道産小麦、蕎麦の育種担当者からレクチャーを受け、
毎年400系統近くを試験栽培して生産力検定を行っている現場を見学しました。1品種確定まで短くても5年かかるという話を聞いて、実際に現場を見ると視察団員にはため息も。「工場で原料を大事にしなくちゃね」といった声も聞こえてきました。
「生産者に喜ばれ、高品質で良い小麦粉ができ、消費者にも喜ばれる『三拍子』を目指すというお話を聞いて敬服。私たちにも通じること」と白潟団長。
3日目はJAめむろ(芽室農業協同組合)訪問。
農産部農産課の土屋一彦係長のレクチャーを受け、間もなく収穫期を迎える小麦生産の現状を学び、集荷受入の準備をしている調整施設を見学しました。
8階に相当する建物で、1本80tの貯粒ビンが48本の設備。調整を担当する職員は2名というハイテク施設でした。
視察団はメモを手に熱心に学びました。
視察団引率は、6月新任の桑山和基専務理事(写真㊤)でした。充実した企画に視察団から拍手が起こりました。前場敏男理事(全麺連理事・元会長)も今回団員として参加。白潟団長と共に「初参加の方が多かったが、企業の垣根を越えて語り合えた」と3年ぶりの視察成功を喜びました。