イートアンド、500億円目指す中計を発表、今秋稼働の関東第三工場に高速生産ライン「キングGGG」
イートアンドホールディングスの文野会長は4月12日、同社中期3カ年計画(2022年~2024年)「Sustainable Growth 2024」を発表しました。
長期ビジョン「Eat&チャレンジ2030」でグローバル売上高1000億円を目指すことを踏まえて、今年度からの中計目標は「コミットメント。ひとつのマイルストーンとして達成します」と語りました。
中計で掲げた2024年度の経営目標は、売上高500億円、営業利益額25億円、営業利益率5%、ROE(自己資本利益率)8%、EPS(1株当たり当期純利益)100円。外食事業での店舗数は、650店舗(国内550店舗、海外100店舗)。
成長の背景にあるのは、今年10月から稼働開始を予定する新工場、関東第三工場です。
自社史上最速の餃子製造ラインのスピードは、関東第一工場比2倍とのこと。AIを搭載してフルオートマティックにより生産をする、効率的な「停まらない工場」(文野会長)を実現していきます。
新高速生産ラインは社内で通称「キングGGG」。GGGとは?という質問に、仲田社長は、「グレイト・ゲイン・ギョウザ、餃子で儲けて拡大していくという意味」と説明しました。餃子の生産販売を強化すると共に、餃子以外の生産も来春には始める方針です。
「作ることができれば売ることができる。キモになるのは、外食事業の再生。コロナ禍で地獄の縁まで行って底を見ました。そして入らずに通り抜けたことで自信になりました」と文野会長。
食品事業では、昨年「大阪王将 羽根つきスタミナ肉餃子」がヒット。主力の「大阪王将 羽根つき餃子」、「同ぷるもち水餃子」にプラスオンする功績があって家庭用冷凍餃子市場におけるシェアは前年(2020年3月~2021年2月)の32.8%から今年(2021年3月~2022年2月)は34.6%に拡大(インテージSCIより)しています。冷凍餃子市場は年々規模を拡大してきましたが、「今以上に増えると思っているので、それ以上のチャレンジ、工場拡大をします」(仲田社長)。期待される市場拡大に対応して、自社工場生産量は、2024年度4万5千トン(2021年度実績3万3千トン比127%)に拡大する計画です。関東第三工場は、第1期稼働で+7千トン、第二期~第四期でさらに増産が可能な体制になるとのこと。
新イメージキャラクター香里奈さんのTVCMは、今年度計3回投入を計画。フォロワー数10万人を突破した公式Twitterではキャンペーンも強化していく方針です。
一方、外食事業の大阪王将では、コロナ禍以降スピード感をもった店舗のスクラップ&ビルドを進めてきました。繁華街立地から帰着点立地(生活立地)への出店強化によって、22年2月末現在で生活立地店舗はコロナ禍前の約2倍、全体の62.5%を占めています。生活立地店舗では、イートインとテイクアウト+デリバリー業態として地域の需要を掴んでいます。
さらに、新中計でのチャレンジは、関東工場と都心の中間地点に“餃子巻きセントラルキッチン”を設けて関東限定で開始する、外食・中食二刀流の新フランチャイズ「新のれんチャイズ」店舗です。この方式で関東地区出店150店舗のポテンシャルがあると見込んでいます。黄色い地に黒く大阪王将と書いた地域密着型の街中華の看板が、生活立地の駅前商店街のそこかしこに、という風景が浮かんできます。
イートアンドホールディングスが昨年11月に制定した企業の存在目的「パーパス」は、
『食を通じて、ワクワクする未来』
食を通じて、
持続可能な社会の実現に貢献し、
+&の発想で、
ワクワクする未来を生み出し続けます。
同社は、外食事業からスタートして食品事業を加えた相乗効果を発揮する『食品メーカー』として発展してきましたが、今後「海外事業、ECを加えた“4本の矢”の食品メーカー」(文野会長)になります。海外事業は、既に台湾に加えて、中国・上海に出店していますが、中国で日本と同様の外食と食品の両輪を持つ食品メーカーを目指していきます。
「外食ブランドのヒットメニューを凍らすこと(冷凍食品)、また乾かすこと(中華調味料)で事業を広げます。海外も同様、外食が先行して食品事業へと拡大します。今まで以上にスピードを増し、明るく元気に、前向きに、さらにダイナミックに」(文野会長)事業展開が進んでいきます。