冷凍食品道場 入門編【その7】メリットいっぱい、冷凍食品の『4つの条件』の話
本日(2020年4月29日)、FM AICHIの番組「AFTERNOON COLORS」で、シリーズ「冷凍食品を考える」がスタートしました。第1回は「冷凍食品の基礎知識」について。パーソナリティの佐井祐里奈さんの質問に冷凍食品ジャーナリスト山本純子が答えました。
ラジオはウエブサイトやtwitterと連動していて、番組中でも感想など書き込む方がいらっしゃって楽しいですね。「わかりやすかった」なんて反響、嬉しかったです。
インタビューで、冷凍食品とは?と聞かれて冷凍食品の4つの条件をお話ししたのですが、振り返ってみると、本サイト「エフエフプレス」で基本の基本、冷凍食品4つの条件を説明していなかったかも、、、、、
ということで改めて、冷凍食品とは?
4つの条件を満たしている食品が「冷凍食品」です。
この4つの条件によって、食生活に役立つさまざまなメリットが生まれています。実は、冷凍食品はスゴイのです。
その1、「前処理」している
食品を洗う、皮をむく、切る、さらに、煮る、炒める、、、、などなど、食べる前に台所やプロの方の厨房ですることを代わって行っているのが冷凍食品です。だから、食べるところだけ。なので、魚がそのまま冷凍されているもの(頭、内臓、ヒレなどついている)は、冷凍食品ではなく冷凍魚と言って区別されます。洗わなく良い、食べるところだけって便利ですよね。生ゴミが出ない、というメリットにもつながります。
この「前処理」、メーカーではプロの技にならったり、場合によっては監修を受けたりして、日々より良い方法を研究しています。手間ひまを家庭の台所以上にかけている、と言っても良いくらいなのです。
その2、「急速凍結」している
非常に低い温度で早く凍らせています。「急速」のイメージとしては、家庭の冷凍庫で氷を作ったり、ホームフリージングで食品を凍らせたりする時間の10分の1くらいの速さと考えてください。あくまでもザックリです。最新の冷凍うどん工場では、うどん1玉が10分でカチンカチンに凍っています。【日本冷凍食品協会の工場認定基準では、-30℃以下の低温冷気で概ね30分以内】
※食品の組織が壊れない!! ← 急速凍結することで得られるメリットはこれ。組織が壊れていない、ということは、栄養価が変わらない、味も保つ、ということです。つまりそのまま。「時間よ止まれ!」って感じでしょうか。
その3、適切に「包装」している
冷凍食品は、利用する方の手元に届くまで包装してあります。衛生状態を保ったり型崩れしないように保護しています。中身が見えないものがある、という声も聞こえますが、そういう包装は、外の光を遮断して品質をより良く保つ目的を持っていたりします。
この衛生的というメリットの他にも、「包装」には、使用原材料は何か、どこで製造したものか、調理方法はどうするか、栄養素は、困ったときの連絡先は、といった情報が書いてある、というメリットがあります。
その4、品温を「-18℃以下」で保管・流通している
品温とは、包装してある中身の食品の温度です。これを生産工場から冷凍倉庫の保管、トラックなどの輸送、配送・配達、そして販売(スーパーの売場など)まで、ずーっと-18℃以下を保って管理します。この低温の世界では、食品を腐らせてしまう細菌は活動できません。細菌が増えない。つまり腐らないのです。この腐らないということは冷凍食品の最大のメリット、だと思います。腐らない冷凍食品には保存料を使う必要がないのです。
この低温下でも、食品は非常~にゆっくりと変化していきますが、概ね1年、作った時の品質を保つ、といわれています。賞味期限が長い冷凍食品は、食品ロスを減らすというメリットも持っています。冷凍野菜などは「旬」の時期に1年分製造するものが多く、旬の鮮度を保って、価格も安定、というメリットを消費者・ユーザーにお届けしています。
低温を保って保管・流通することを「コールドチェーン」と言います。チェーンがピンと張ってある状態を想像してください。どこかで1個切れてしまう(温度が-18℃以上になってしまう)と張っていたチェーンはバラバラになってしまいます。スーパーから買って帰るときも、このコールドチェーンを意識して、温度を上げない工夫をしましょう。これからお買い物はマイバッグの時代ですね。ぜひ、保冷バッグも1つ持ってショッピングに行ってください。
※日本の法律では冷凍食品の保存温度は-15℃以下となっていますが、業界団体の一般社団法人日本冷凍食品協会では、世界共通の基準、-18℃以下(0℉以下)を自主基準として守っています。
冷凍食品の保存温度はどうして−18℃以下?