最近、食品の表示が変わったことを知っていますか?
『冷凍食品についての素朴な疑問シリーズ』
Q. 加工食品てどこで作ってるかよく分からないし、添加物も気になります
A. 食品の表示が変わりました。
スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどに置かれている数多くの食品は、皆さんに、手に取って下さい!買って下さい!と訴えているようなカラフルなパッケージに包まれ陳列されています。パッケージにはその食品の訴求ポイントが、お見合い写真や経歴のように多くの情報として記載されているのですが、皆さんはどの程度見ていますか?
最近、食品の表示が変わったことを知っていますか?これは、2015年4月1日に施行された食品表示法に基づくもので、ルールを一本化しわかり易くするために改正されました。ただ猶予期間が加工食品では2020年4月1日までなので、冷凍食品メーカーや販売者は新製品やリニューアル品の発売に合わせ2018年前後に実際のパッケージの表示を変更したところが多かったようです。
その改正内容ですが、詳細に述べるとわかりづらくなるので、主な点だけを冷凍食品を例にして紹介したいと思います。
1.どこで製造しているか、実際の名称と所在地が表示されるようになりました。
今までは「製造所固有記号」と言って記号で表示していてどこで製造しているか不明でした。販売者や保健所に問合せればわかりますが、一般の方はなかなかそこまでする方は少ないようです。改正後は、同じ商品を1ケ所の工場で製造している場合は、工場の名称と所在地が表示され、パッケージでわかるようになりました。表示されている工場は、自社工場だけでなくPB商品はじめ委託生産している工場名も同様に表示されます。商品を使用する側、消費する側には安心感を与える1つの情報になると思います。
ただし、輸入品は輸入者名の表示なので工場名までは表示されていません。原産国名の欄から生産した国はわかります。
2.原材料と添加物の区別が明確になりました。
パッケージ裏面の枠で囲った表示(一括表示と言います)に原材料名という欄がありますが、今までは原材料と添加物がこの順で羅列してあったため、どこから添加物なのかわかりませんでした。改正後は、両者の間に/(スラッシュ)を入れて/の後が添加物であることがわかるようになりました。他の表示方法もあるのですがこの/を使っているメーカーが多いようです。
3.アレルギー表示が若干変わりました。
アレルギー表示はお子さんに限らずアレルギーを持っておられる方には大変重要な表示項目です。今まで、例えばパンと表示すれば小麦が入っていることは容易にわかるとされてきたので、アレルギー表示として小麦の表示は不要でしたが、より明確にするためにパンと表示しても<小麦を含む>という表示が必要になりました。医療関係や学校給食の現場でアレルギー物質の見落としがなくなるようにすることの配慮でもあります。
冷凍食品の場合も同様ですが、表示方法は今までは原材料名の欄に一括して「原材料の一部に〇〇を含む」「その他〇〇由来原材料を含む」と表示されていたと思います。改正後は、表記方法がわずかに変更され「一部に〇〇を含む」となりました。この表記を見ればこの商品の表示が改正されているかどうかチェックする方にとっては一目でわかります。
4.栄養成分表示のナトリウム、食塩相当量が食塩相当量に統一されました。
栄養成分の表示は、エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量の5項目が義務表示ですが、今までナトリウム、あるいは食塩相当量とバラバラに表示されていたものが食塩相当量に統一されました。ただし、実際に食塩などのナトリウム塩を添加していない場合にはナトリウムも合わせて表示することができます。
これは減塩対策を指導している医師や栄養士から、ナトリウム表示を食塩相当量に統一してほしいと強い要望があったためですが、ナトリウムから食塩に換算するのが知られていないことによるものです。ちなみに、次の式により換算することができます。
ナトリウム(mg)×2.54÷1000=食塩相当量(g)
主な改正点を述べましたが、以下に現在販売されている代表的商品を幾つか例として挙げます。赤丸で囲った項目が以上述べてきた改正点です。参考までにご覧下さい。(画像をクリックまたはタップで拡大します。)
鳥羽 茂 氏(とば・しげる):東京工業大学大学院卒業後、味の素㈱入社、商品開発業務、調理食品研究所長を経て味の素冷凍食品㈱で品質保証業務に従事、同社定年後約7年冷凍野菜専業の大手企業、ライフフーズ㈱で品質保証業務に従事。神奈川県食の安全・安心審議会委員(現)