冷凍食品道場 入門編【その4】 冷凍野菜は短時間加熱が基本です
冷凍食品道場 入門編【その4】は、冷凍野菜(略して凍菜)。
冷凍野菜の代表選手は、フライドポテト各種、枝豆です。この大スターの存在は、昔も今も変わりないのですが、気候変動に加えいろいろな要因が重なって、生鮮野菜の高値や不足が問題になることが多くなり、葉物系の冷凍野菜ももてはやされるようになりました。「お野菜高い時は助かるわー」という声。でも、その一方で「べちょべちょな感じが嫌だから普段は買わない」といった話をされる方もいらっしゃいます。はっきり、言います。野菜が高い時だけではなく普段も使わなければもったいない。べちょべちょな仕上がりは、調理の失敗が原因です。
上手に解凍すれば、冷凍野菜は、食感もまずまず、そして栄養価が高い野菜、なのです。
これは先日、残りごはんでお昼の雑炊を作った時の写真。ぐつぐつとほぼ出来上がり加減で、冷凍ほうれん草を入れました。凍っているのがほぐれて火が通ったらOKです。しゃきしゃき感のあるほうれん草入り雑炊の出来上がり。鍋の〆の雑炊やうどんに、ほうれん草、オクラ(刻み)などを入れるのもいいですね。
ほうれん草炒めだって、ベーコンをよく炒めて、そこに冷凍ほうれん草を放り込み、火が通った時点でOKです。ベーコンの塩気で十分なので胡椒を振って出来上がり。少量がササっと作れるので超便利です。
お気づきでしょうか?冷凍野菜は、加熱調理時間が短くてOK。なぜなら下茹で(ブランチングと言います)してから急速凍結されているからです。ほうれん草などは、生からの調理時間を10とすれば、冷凍ほうれん草は1~2でOK。つまり、凍結前に8割方加熱してあるのです。「えー知らなかった!」という方多いです。それもそのはず。パッケージの裏面には「加熱してありません。」「加熱してお召し上がりください。」と書いてありますから。「生」と同じだと思っちゃいます。でもよく見てください。野菜の緑色が鮮やかでしょう? 下茹でしているからなのです。
表示の一例です。「凍結前加熱の有無/加熱してありません。」「加熱調理の必要性/加熱してお召し上がりください。」とあります。調理の加熱はしていないので、加熱してくださいね、という意味です。その加熱がほんの少し、火が通れば良い、ということが、まだ広く浸透していません。
次は、「自然解凍でもOKです」と書かれたブロッコリー。
忙しい時にカップめんを作ってずるずる~いやこれだけじゃ野菜不足?と考えた時に、途中でスープの中にグイッと入れて解凍。
塩味付きの枝豆に始まって、最近は自然解凍でOKな野菜も増えてきました。少し長めに下茹でして、衛生管理よくパッケージしているので自然解凍でも安心して食べられます。
冷凍野菜は旬の時期に集中して製造されます。旬の時期が最も良質で、栄養価が高くて価格が安い原料が調達できるからです。価格は安定、しかも旬の時期の高い栄養価を保持しています。え?栄養は無いだろうって?! なんという誤解。急速凍結は組織が壊れないようにする技術。組織が壊れにくいということは、栄養価も壊れにくい、ということなのです。
栄養価が高く、自由に小分けして使えて、しかも時短、生ごみゼロ。良いこと尽くめ。生鮮が高いときだけ買う、という方はほんともったいない。ぜひ、日常使いで冷凍庫に入れてご活用ください。