新そば祭り!「そば」授業を受けている高校生の手打ちそば美味し
「高校生が打った手打ちそばです。いかがですか~!」
「北海道 幌加内高校」の幟を振りながらPRする男子高校生。既に長蛇の列ができています。「いま40分待ちくらいです」と言われても、皆さんどんどん並んでいきます。このそばが来場目的、という方も多いようですね。
9月3日、4日の両日開かれた、日本一のそば産地の新そばイベント、「第23回 幌加内町新そば祭り」。町民は1600人くらいですが、毎年2日間で5万人くらい来場するそうです。大型バスもワサワサ集まり、賑やか賑やか。そば好き、そば打ち好き大集合!って感じのイベントです。
おっと、地名は「ほろかない」と読みます。念のため。旭川から北に45km、札幌の北東150kmのあたりです。そばと寒さと人造湖の大きさが日本一。
あ、そばキャラクターの「ほろみん」だー!って、ゆるかわキャラ、います。
「ほろみん」は、そばの実の形の三角頭。
畑に行ったらこんな感じ。収穫を待っているそばの実です。真っ白い花が少し残っています。花の時期は畑全面真っ白。実が熟してくるとそばの茎が赤茶っぽくなってくるので、刈り取った後の畑は「セピア色」。これもまた美しい。
そばの実は、こんな感じの三角坊主。北村そば農場の北村忠一さんによると、もうすこしぷっくりした頃あいが収穫時だそうです。
北村さんは、「幌加内町新そば祭り」の発案者で、第1回から10回まで、実行委員長を務めた方。ご自宅でお話をうかがいました。㊧はシマダヤ㈱の牧実会長。契約栽培のパートナーです。
「日本一の産地になっても幌加内の知名度が上がっていかないんだ。原料が信州に行って信州そばになることも。知名度が上がるようにと始めたお祭り」
「最初3回はそば畑の近くがいいだろうってことで開いたけど、雨にあたって大変なことに、、、」 初回数百人から始まり、苦労が実っていまや大イベントに。
「冷凍そばって聞いたときは、えー、冷凍したら切れてしまうだろうってね」。シマダヤが美味しい製品に仕上げてきて、びっくりしたそうです。
新そば祭り会場内のシマダヤ㈱のブースです。「幌加内産そば使用 石臼挽きそば」はじめご紹介。初日はそばの試食も行って、その美味しさでみんなを驚かせたそうです。同社の今年の契約栽培面積は、北村そば農園はじめ3ヶ所で合計300ha。
さて、イベントの話。
メイン会場では、新そば手打ちそばが1杯(1枚)500円~楽しめます。
高校生のところに戻りましょう。
今年、全国高校生そば打ち選手権大会で準優勝した幌加内高校の3年生、中田百香さん。みごとな職人技です。仕事が丁寧。
調理は先輩から後輩に受け継がれていきます。しかし、途中でアナウンス。「25人で一生懸命打っているんですが、すこし間に合わなくなったので少々お待ちください!!」 でもお待ちの皆さんにこやか。
25人は学校の「そば道場」で懸命にそば打ち作業中でした。
黙々ときっちり丁寧な作業が続きます。日頃の鍛錬の賜物。幌加内高校には、きちんと認められた「そば」カリキュラムが全学年にあります。そば打ちで段位(全麺協の素人そば打ち段位認定制度)を取得するのは卒業規定の一つです。
段位は5段までありますが、3年生で3段を取得する生徒もいます。
「そば」を活用した教育で有名な、幌加内町立北海道幌加内高等学校。廣瀨之彦(のぶひこ)校長先生㊧と保格(ほかく)秀規教頭先生。
生徒のほとんどは地域外、道外から入学して寮生活。中学校までは力を発揮できなかった生徒も、1年生でそば打ち初段を取得すると、自信をもって何事も積極的になってくるそうです。生産からそば打ち、調理、店舗運営まで学んでいます。まさに六次産業化体感型の教育。
「そば道場」とそば打ち研修室を名付けたのも、道を極める、きちんと積み重ねて技量を上げるという気持ちがこもってのことでしょう。道場ですから出入りにはきちんと挨拶をいたします。当然、卒業生に外食、食品関連業界からの就職オファーが多いのです。
新そば祭り会場でいただきました。
二八そばは爽やか風味。ぴしっときれいにカットされた麺の断面。つゆもおいしく天ぷらもカリッと揚がっています。
いただきながら、親元離れて学んでいる生徒たちを思うと胸があつくなります。ごちそうさまでした!
地元の幌加内そばうたん会にも長蛇の列。札幌からのバスツアーで参加した奥様は、こちらのもりそばを食べながら、「これ今までで一番美味しい」と喜びの声を上げていらっしゃいました。
福井から、越前そば。
会津磐梯から。
そば打ち道具に
そば団子もと、まさにそば尽くしの会場でした。