ニッスイ「パエリア」、ヒットの方程式

バルごはん パエリア仕立て
 日本水産の秋の家庭用新商品が好調だ。“国産野菜”をキーワードにワンランク上の「ちゃんぽん」を提案し、既存ちゃんぽんとカニバリを起こさずに導入が進んだ。お弁当商品でも、クリームコロッケの活性化を狙った「クリームチーズコロッケ」が好評。機能性表示食品を見込んだ「EPA(エパ)」シリーズも売場の理解を得て導入が進んだ。さらに、「バルごはん パエリア8種の具材仕立て きのこのアヒージョ入り」が首都圏を中心に順調な販売となっている。
 バルとか、パエリアとか、アヒージョ等々ニッスイらしからぬ...といっては申し訳ないのだが、社内でもそのような雰囲気のようなのでお許しを願う。この、らしからぬ(しつこい)おしゃれな雰囲気の製品は、女性チームによる開発商品とか。しかも、商品化までの過程で、男性は一切口出ししない、という条件付きの新チャレンジと聞いた。
 同社に限らず、また、あえて言うなら男女限らずなのだが、開発スタッフと話をしていると、「上の理解」がかなり高いハードルなのだと聞く。つまり、調査、コンセプト、試作云々と積み重ね、熱い思いでゴール間近に来た時に、社内プレゼンでNGが入る可能性あるというのだ。開発担当者は、みな緊張の面持ちで提案に臨む。
 これに対し、米国の大手食品メーカーでは、調査やコンセプトを立てる段階から始まって製品化までの各段階毎に、役員以下部門長まで承認しながら進んでいくそうで、発売一歩手前の大どんでん返しは、ありえないと聞く。
 さて、ニッスイ・パエリアの話に戻るが、同品は単に女性に任せたという意味あいのものではなく、『パスタ以外で女性が食べたくなるメニューを女性だけで開発しよう』というテーマがあった。喫食者の中心が男性と子供である冷凍米飯に対し、過去数年で躍進したパスタ類は、主に女性の昼食シーンに使われている。女性がパスタ以外に選択肢を広げられるメニューには大きな可能性がある、という的確なターゲット設定と開発コンセプトに対し、社内の同意があってスタートした商品開発だった。
 良い製品が出来上がったのは、八王子の開発センタースタッフと家庭用食品部冷凍食品課のスタッフ5名の努力の結果である。そして、理不尽な横槍無し、というスタート時点の条件が、情熱を燃やす種になったのではと想像する。これは、アグリーを重ね、後戻りなしのアメリカンな開発手法に少し似ているかもしれない。
 もちろん、ヒットに結びつくかどうかに完璧な方程式は無い。入念に積み重ねていっても失敗はある。だが、開発意欲を盛り上げ、消費トレンドに寄り添った人材活躍の場を作り成果を得たという点で、ニッスイ・パエリアのヒットを喜びたい。

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