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「本当にこれでいいの?」 全ての加工食品に原料原産地表示!なのですが、その『あいまいさ』が問題

「輸入又は国産」って、、、そんな食品の表示を望んでいる人がどこにいるのでしょう。国民運動でも起こらない限り、そんなあいまいな表示がOKという表示基準が5年後スタートしそうです。

全ての加工食品に義務付けられる方向で進んでいる原料原産地表示の新制度(「食品表示基準の一部を改正する内閣府令(案)」)については、「難解」「誤認や偽装を生む」などなど、批判続出。新制度案に対して広く意見を求める「パブリックコメント」は、8715件(食品表示に関して過去最高は4329件)という異例の受付件数になりました。「制度ありき」の方向で進んでいる現状に対抗しようと、研究機関や消費者団体が立ち上がっています。

深刻な表情のパネラーが並んでいる写真は、6月27日に開催された「本当にこれでいいの? 加工食品の原料原産地表示」~新たな加工食品の原料原産地表示を巡る議論と課題~と題した意見交換会の模様です。主催は公益財団法人 食の安全・安心財団(唐木英明理事長)。会場はぎゅうぎゅうの満席でした。

加工食品がどのような原料で作られているのか? 誰にとっても関心の高いことです。まずは安全な原料であることはもちろん、鮮度はじめ品質はどうか、美味しさはどうかなどなど、食べる前にしっかりと表示を見て分かっていれば、安心できたり、食べるのが楽しみになったり、より美味しく感じたりします。

ところが新制度案は、加工食品の「全て」を対象に原料原産地表示としたために、さまざま例外表示を加えることとなり、とてもわかりにくくなりました。「表向きは消費者の要望に応える制度というが、実はTPP対策。日本産が選ばれるようになるだろうということ」(唐木理事長:写真)と批判されるように、「国産」が分かればよし、という国内農畜産業者だけを見た制度だといわれています。米国離脱でTPPは実現不可能となりましたが、この新制度は動き出したので止まらない状態が続いています。

消費者団体の意見はほぼ同一で、消費者が望んで生まれた案ではないということです。「今回の改正そのものが、消費者が期待するものとはほど遠い、きわめてわかりにくい制度であり、制度の再検討を求めます」(2017年4月18日付 消費者庁に提出された日本生活協同組合連合会の意見)という言葉に、消費者の声が集約されています。6月27日の意見交換会は、同29日に開催予定の消費者委員会表示部会で議論が盛り上がることを期待してのものでした。

さて、原料がどこの国で作られたものか、という表示は国際的にどうでしょうか? Country of Origin Labeling (COOL)とかっこいい略称になっていますが、2000年から2005年にコーデックス委員会(国際的食品規格を決める組織)で論議されて以降ストップ。つまり、議論を尽くしてCOOL表示制度を作ることには積極的な価値はない(安全性、品質等につながるものではない)、と判断されたと考えて良いでしょう。

蛇足ながら、意見交換会で印象的だったのは、「要するに中国産でない確認?」という発言に多くの人が失笑したこと。振り返れば、2008年、石原都政の時代、都知事諮問に対し東京都消費生活対策審議会が答申して、東京都条例で市販用調理冷凍食品に対して原料原産地表示が義務化されました。同年1月に中国産冷凍餃子による健康被害事件(後に故意の刑事事件と判明)が起き、同年8月に施行されるという異例のスピード条例でした。これも消費者が求めた表示制度ではなかったのです。

消費者のための表示という大義名分に隠れた政治の思惑に、監視の目を持つことが重要ではないかと考えます。

 

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