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勝美ジャパン・インドネシア新工場:赤道直下の高原で快適気候、一貫ラインで製造する“無加熱摂取冷凍蒸葉物野菜”

メディカル給食向けの『冷凍蒸野菜』で唯一無二の実績を誇る、㈱勝美ジャパン(本社・東京、山崎裕康社長)の新たな生産拠点が、インドネシア・北スマトラ州の高原の町、シボロンボロン(Siborongborong)に誕生しました。この新工場で、業界初のインドネシア産の無加熱摂取できる冷凍蒸葉物野菜の製造を開始しています。

写真㊤の右側が、畑からの穫れたて原料野菜の受け入れ棟で、左端が冷凍倉庫・出荷ドックシェルターです。つまり、野菜の下処理から、加工、凍結、包装、保管、出荷まで、一方通行の一貫ライン。

反対側から見た工場です。右手前のボイラー設備の右奥が野菜原料の下処理場です。

余裕のある広い敷地を生かして、一直線で効率的な生産、人やものが交差しないメリットがあり、しっかりと品質管理ができる工場になっています。

前回記事より詳しい北スマトラの地図で工場の場所を紹介します。

東側にマレーシア、西側の海はインド洋です。町のすぐ北にある湖は、琵琶湖の1.6倍の大きさという世界最大のカルデラ湖、TOBA(トバ)湖で、その地区の緯度は北緯2.68度ですから、ほぼ赤道直下といえる熱帯。

ですが、標高905mのトバ湖周辺は「東洋のスイス」と呼ばれるほど、気候の良いリゾート地。そして湖周辺には、さらに数百m高いところに広大な高原が広がっています。工場のあるシボロンボロン(標高1400~1500m)はトバ湖の南側。1年中春のような過ごしやすさ(最低気温15℃-最高気温23~25℃)です。

昼間は半袖やシャツ1枚で快適に過ごせる気候。写真は現地を訪れた時の(㊧から)山崎社長、現地法人で長年の製造委託パートナーであるPT.  TOBA AGRO ABADI(本社・メダン)のRicard Ryanto(リチャード・リャント)社長、山崎光紀副社長、現地駐在の金原永治さん(本社製造部所属)です。

PT.  TOBAは、250ヘクタールの自社農場を持っています。原料野菜の生産から、冷凍野菜の製造、日本への出荷まで全てを自社で行っている、つまり、日本のマーケットに合わせた管理ができる会社です。

リチャード社長は、夜学に通いながら18歳で就職した食品工場で山崎社長と出会い、38歳で起業しました。現在51歳。両社には、社長同士の30年以上の親交、信頼関係が根底にあります。畑から抜き取った大根を見せてくれたリチャード社長。このエリアの大根は全て数日内に収穫して出荷予定とのこと。勝美ジャパンの看板商品の一つ、「冷凍蒸大根」の原料です。

同地域は一大コーヒー産地です。その気候を生かし、日本向けの野菜を生産しているという点で、PT. TOBAは唯一無二の企業なのです。

◆新工場の余力は十分、メディカルカットした冷凍蒸葉物野菜

新工場の内部を紹介しましょう。見学者は従業員と同様に、マスク、ネット帽子、布帽子、白衣上下、長靴と完全装備をします。そして、まずはタイマーで時間を計りながら手洗い。
粘着テープでコロコロと毛髪等を除去し、服装チェック。
さらに、エアシャワー。
日本の工場の厳格なルールと同等の管理体制です。

生産棟内の左端に現在第1ラインが設置され、稼働中です。増設の余地を十分に残した建物です。

下処理した原料が流れる最初の工程、風力選別機、ドラムたたき機です。葉物野菜以外のゴミ、虫などを除去できます。

工場訪問当日は、カットキャベツの製造を行っていました。20㎜角のスタンダード規格です。日本では毎日キャベツが高いなぁとため息をついていた時期ですので、ラインを流れる大量のキャベツを見て、さらにため息。

野菜ごとに工程は異なりますが、キャベツはカットしながら3回に分けて洗浄します。

芯、色の悪いもの、大きさなど、途中で丁寧にチェックしていきます。

まっすぐ蒸しラインへ。滞ることなく進んでいく、効率的な一直線のラインに驚きます。

冷水で冷却します。

急速凍結機に入る前の状態です。許可をいただき、ひとくち味わいます。シャキッと感があり、甘み、うまみのある仕上がりでした。鮮度抜群な証拠ですね。

トンネルフリーザーで急速凍結。

フリーザーから出てきたキャベツは振動を与えてパラパラに。

包装工程へ向かって行きます。

製品の一時保管パックです。

製品包装は手作業ですが、そこでも入念なチェックを行います。


金属探知機を通して、段ボール詰め。

パレットに積んで、出荷まで冷凍倉庫に保管します。

工場からは東海岸のメダンまでトラック輸送。船でシンガポールを経由して、日本へと輸出されます。

下処理場では、畑から届いたばかりのチンゲン菜の下処理作業を行っていました。下処理済みのチンゲン菜は青いケースに入れて管理。作業は現場責任者が常にチェックしていました。

収穫した野菜は、数十分で工場へ納入されて、すぐ下処理場へ。農場も工場も自社管理だからこそ、収穫と生産を最適にコントロールできます。

自社で作るものは他にもあります。工場内の棚や器具などは、ほぼ自家製。
農業機械も自社で、使い勝手よく改良しているそうです。
「良いと思ったらすぐやる。これは、カウボーイ・スタイルですよ」とリチャード社長。

工場取材の後、別棟の食堂を見学しました。オープンテラスのような作り。平均気温20℃ですから、雨さえしのげればOKなんですね。
夕刻の食事時間外でしたが、仕事を終えた従業員が次々にやってきます。高校を卒業後、20代半ばで結婚するまで工場で働くという若者がほとんどだそうです。ひと仕事終えて、仲良しと集い、日暮れまで過ごす人が多いそうです。通勤はほぼバイク。寮もあります。
リチャード社長が気軽に声をかけると、続々と集まってくれました。
おいしく、ごはんの量も好みに合わせてたっぷりという食事は大好評です。好きなメニューを聞いてもらったら、「魚料理」、「鶏肉!」と笑顔で答えてくれました。

工場敷地内では基礎工事が進んでいました。1000トン級の冷凍倉庫をもう1棟増設する予定です。急ピッチの発展を見込んでの対応です。

次回は、「日本の野菜」を生産している農場を紹介します。

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