レンジでチンする「冷やし中華」を生産しているニチレイフーズ山形工場はエコフレンドリー
レンジでチンして作るニチレイフーズ「冷やし中華」。袋を開けると麺の上に氷!!レンジで加熱しても氷が残り酢醤油たれをかけて、よく混ぜると冷え冷えでコシのある中華麺が出来上がります。
氷はマイクロ波の影響を受けにくいという特性を生かしたこの新商品、先日発表された日経MJヒット番付で「技能賞」を受賞するほどの話題商品です。
その「冷やし中華」を生産するニチレイフーズ山形工場(山形県天童市、松下正信工場長)で、6月9日、冷凍食品新生産ラインの内覧会が開かれました。会には、同社の環境負荷低減への取組みを評価して、環境省、天童市から来賓も出席しました。写真は、(㊧から)ニチレイフーズ中野泰寿取締役専務執行役員生産統括部長、天童市経済部産業立地室・笹原泰行政主査、同・花輪達也室長、ニチレイフーズ竹永雅彦社長、環境省地球環境局地球温暖化対策課フロン対策室(併)低炭素物流推進室・豊住朝子室長、同・中本大輔主査。
山形工場は、1957年に設立されたレトルト食品を生産する工場で、ニチレイ・レストランユースカレー(レトルトカレー市場売上3位)や、ふかひれスープが人気商品です。今回、調理冷凍食品の新ライン稼働を機に、2月から工場の電気を水力発電電気(東北電力「よりそう、省エネ電気」)活用に置き換え、電気でCO2排出量ゼロを実現(年間2000tの削減)しました。年内には太陽光パネルの設置も予定しています。また、生産設備の燃料は、CO2排出量の少ない都市ガスやプロパンガスへの転換を図りました。
脱フロンへの取組みでは、今回の新ラインで環境省の「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金」を活用して、自然冷媒の凍結機を採用しています。ニチレイフーズでは、2030年までに国内自営投資工場のフリーザーを100%自然冷媒へ切り替える計画です(現状70%達成)。
話題の「冷やし中華」の製造現場を見学しました。中華麺生地は麺帯を2層にしてからゆっくりと延ばしていって、縮れを加えながらカット。
茹で槽~冷却ラインに。
1玉ずつ取っていくまでは、人の手不要の一貫ラインです。
以降のトッピングは、人手を要するライン。紅ショウガ、錦糸卵、煮豚(工場内生産)、きざみオクラをセット、最後にのせる氷も手作業です。
その後、スパイラルフリーザー(同社最大規模)に。トッピング作業工程は、地元天童市の小学生社会科見学を想定して、ラインを上から見ることができる見学通路を設けていました。まだ準備中ですが、前室にはプロジェクションマッピングもできる設備を設けます。
凍結後、タレをのせ、金属探知機、重量チェック、X線検査、包装ラインに流れて完成です。
手間暇かかる生産工程ですが、逆に言えば手作業できるラインだからこそ、フレキシブルに多品目が生産できるのだと感じました。
内覧会で竹永社長は、新ラインの狙いである「パーソナルユース」商品への期待を強調しました。家庭用では、第1弾商品の「冷やし中華」のように、技術力を発揮した商品提案をしていく方針です。「パーソナルユース」商品は、むしろ人手不足の対応が迫られている業務用市場、調理設備のバックヤードが狭い老健施設、福祉施設の需要が大きく、冷凍食品が大いに活躍する場になると見込んでいます。
当日の試食を兼ねたランチでは、業務用ハンバーグ(自社のハンバーグ使用、自家製生パスタとガロニセット)と、冷やし中華に続く秋の新商品(予定)つけ麺が提供されました。
なるほど、幅広い品揃えの自社製品を使用して作ることのできるパーソナルユース商品のメニューは無限大ですね。